そんなのあたりまえの話

ラーメン屋でぬるめのラーメンをすすってたら、となりのカップルの女子が「いただきマンモス!」とあたりまえのように言って、ラーメンをすすりだした。男子の方は小声で「マンモス」と言ってすすりだした。どういう精神構造で二人がラーメンをすすってるのかは分からないけど、僕のぬるめのラーメンは更に冷え込んだ。


彼らを見てると「そんなのあたりまえ」という、今日もこの瞬間に誰かが吐き捨てている言葉はそんなにあたりまえでなかったりするのかも知れない。


数年前にチベットに行った時のこと。標高がとっくに富士山より高いので、高山病に悩まされ、あんまり記憶もなかったけど、あの出会いは忘れていない。ネパールから長距離バスでチベットのラサに向かう途中に昼食でしがない町にたちどまった。食欲と社交性もない僕は、ご飯も食べずにぷらぷらと町をうろついていた。漢字だらけの看板を見てると、街路樹の下で突然、現地のじいさんが座りだした。



七福神でいうところの長い顔した神様 (福禄寿) みたいなじいさんは座りだした瞬間にうんこ座りして、即、脱糞。「うんこ座り」を体現してる人を初めて見た。一瞬でも、この場を立ち去りたい僕と人の野グソを見る機会などもう二度とないかもしれない僕は、じいさんの様子をうかがってると、どうも終盤を迎えたらしく拭くものを探していた。草で拭くのかなと思ってたら、拳ぐらいの大きな石で何回も患部にこすりつけてた。


そのうち石でも投げつけられたら、たまらないと思い、じいさんのそばを通り過ぎる。その時になんか僕に話してきた。なんと言ってるのかは分からないけど、もしかしたら「そんなのあたりまえ」と言ってたのかもしれない。

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