ロンドン大学の友人がホームレスに言った一言
「病院に行くからお金をくれないか」
血だらけの男がやってきて、そう言った。
夜のロンドンの街を、イギリス人の友人・マットと2人で歩いていた時のことだ。
みすぼらしい服装をしており、見るからに怪しい。
これはロンドンでは良くある手口だが、血は偽物である。ホームレスがお金を得るために使う手法だ。もちろん僕はお金をあげなかった。
しかしマットは、「大丈夫か? これで病院に行け」と言ってお金を渡した。
僕は「血は偽物だよ」と耳元で囁いたのだが、彼は何も言わなかった。
あとでなぜお金を渡したのか議論になった。
『ノブレス・オブリージュ』
日本では聞きなれない言葉かもしれないが、日本語では「位高ければ徳高きを要す」となる。
つまり、恵まれている人はそうでない人に与える義務がある、ということだ。
日本ではホームレスの人を見たときに、見て見ぬふりをし、そのまま通り過ぎることがほとんどだろう。
しかしロンドンでは同年代の友人が、自分の財布から小銭を取りだし与えている光景を何度も見てきた。
お金だけじゃない。いつも温かい一言をかけていた。こんな光景を日本で見ることはなかなかないだろう。
文化の違いかもしれない。欧米では、自分がしてほしいことを他人にしてあげる。日本では、自分がしてほしくないことを他人にしない。
しかし、恵まれている分、そうでない人に与えるというのはとても重要なことだと感じた。
そして自分が何かほしければ、自分から与えられる人間にならないといけないと思った。
ロンドン大学に行くまで
詳しくは「学年ビリ、偏差値30台の落ちこぼれが、大学を辞め、世界の名門ロンドン大学に留学、そして商社マンになる話」に載せているが、僕はこのタイトルの通り、スポーツ推薦で入学した大学を辞め、人生のどん底にいた。
その時に「いまいる環境から抜け出したい」と思い英語を勉強したことがきっかけで、ロンドン大学の大学院で学び、総合商社から内定を得るに至った。
スポーツ推薦で入学した大学は偏差値30台。当時の僕の英語の偏差値も30台。
それでも、人生は変えられた。
環境は変えられた。
このストーリーは、失敗を乗り越えられずにいる人、環境のせいにして一歩踏み出せずにいる人、やりたいことがあるのに諦めている人にとって、有益な情報が詰まっているはずだ。
他人の人生を生きても幸せにはなれない。そして、諦めなければ必ず環境は変えられる。
書籍化
これは、12月12日に宝島社から出版される、「Fラン大学生が英語を猛勉強して日本のトップ商社に入る話」からのストーリーです。
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