51人生の岐路 / どうなる?!かあさん!!
10月8日。
6時30分、起床。
いつもは中々、目を覚まさない私なのに、この日は違った。
目覚ましより前に起床。
着替えて、支度して、彼より先に準備が整った。緊張していたからなのかもしれない。
みきが、付き合っている人はどんな人なの。
話をしてみたいから、一度、家に連れてきてほしい。
母の、この言葉が発端だった。
とはいえ、千葉と静岡は遠い。以前は京都に住んでいたため、尚更だ。
しかも、彼は仕事の休暇が不定期なのだ。土日はほぼ休めない。
なのに、早く連れてきてほしい、という母。無茶なことばかりで…。
そんなとき。
彼と少々、喧嘩をした。
些細な事だけど、私が怒ってしまった。
どうしても許せなくてね。
彼から謝られたけれど、口を利きたくなくて…。
寝たふりをしていたら、彼がぽろりと、「みきんち行こう」と言っていたのです。
でも、本当かどうか分からなかったから確かめることもできず。
翌朝。
彼が、明後日の水曜日、休みが取れたと言っていたため、「デートする?」という話になり、彼から「みきの家に行かないか」と提案されました。正直、心の準備ができていなくて、焦った。
すぐに母に電話をかけ、「急だけど、明後日、彼と実家に行くから。」と告げました。
それが、彼と実家に行くまでの経緯となります。急です、そう急です。
彼の家から東京まで行き、そこから鈍行で、東京→熱海→静岡と行くつもりでした。
なのに…!
先日の台風で東海道線の大部分が運行休止らしく、仕方なく、新幹線で静岡へ。
飛んだ出費になってしまいました。
静岡駅に着いたのは、おおよそ、12時かな。
そこから、バスで10分。ようやく、実家に着きました。
とてつもなく、緊張。
ピンポンを押すと、母の姿が見えた。
母の顔も強ばっていた。それでも、笑顔を作っていた。
ちなみに、父は仕事である。
彼と私、母の三人でお昼ごはんを食べるはずだったのに、
母は残り物があるからと言って、先に食べてしまったようだ。
どこまでも大橋家は、KY(空気よまない)だ。
母が作った、しずおかおでんを彼と二人で食べる。母は横で見ながら、話しかける。
なんとも言えない食卓風景だった。
母の緊張が伝わってきた。
後から聞いたら、というか、「緊張して、昨夜は眠れなかった」と彼に言っていた。
あ。私は眠すぎて昨夜も変わらず、爆睡でした。なんて口が裂けても言えなかった。
母と彼は、言葉のキャッチボールをしていた。
彼は、話の進め方がうまい。リードしていた。
そして。
母が、どうしても聞きたかった、今後のことについての確信に迫る。
母の声が震えていた。
正直、自分も知らなかった彼の一面が垣間みれた瞬間だった。
私に対する、彼の意見。母を通してより詳しく聞けた。
母の話で、彼も私も泣いてしまったのはここだけの話。
実家の滞在時間は、3時間ほどでしたが、とても濃厚な時間だったと思います。
足を運んでくれた彼には感謝の気持ちでいっぱいです。お母さんもありがとう。
今度は、父がいる時に…なんて言われたけど、いつになるだろうか。
父に託された想いを背負って、初対面の彼と話した母のプレッシャーは相当だっただろう。
今日はゆっくり眠れそう、と言っていた母の言葉が胸に響いた。
帰りは、静岡駅まで送ってもらった。
車が見えなくなるまで、私たちは手をふり続けた。
ありがとう、ありがとう。
たくさんのありがとうを込めて、ふり続けた。
後日談。
彼のことを聞いてみたら、いい人じゃんと言っていた。
母は男に対して厳しい。自身のお見合いで、父と出会ったのは12人目らしい。
だからこそ、彼に対する印象が良くてよかった。
どうにか、母に会わせられた。
大きく息を吐いた。
安堵した気持ちで終わらなかった。
家に帰るまでが旅行というけど、まさにそんな感じ。
静岡駅から東京にたどり着くまで、長い長い道のりが待ち受けていた。
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