ハンドボール 第五回

前話: ハンドボール 第四回
次話: ハンドボール 第六回

いよいよ、試合が始まる。

キャプテンの無念とその覚悟を聞かされたメンバーは否が応にも火が点いている。

これでやらなきゃ男じゃないし、今までの全てをぶつけて全て出し切る。


1回戦の相手はO中といい、レギュラーなら普通にやってれば勝てる、というチーム。

しかし、全体的に背が高いチーム(僕よりは低いですけど)でウチは全体的に背が低いチームであるため、ロングシュートがハマると危険。それに今回は「僕」がいる時点でレギュラーメンバーじゃない。


試合開始の笛が鳴る。

確か後攻だったけ。相手がボール回しをして切り込んできた、すかさず僕が前に詰めながらジャンプをする、


「バシッ!!」


手に痛みが走る。

そのボールを仲間が拾い、カウンターでサイドから攻め上がりシュート・・・こちらが先に点を取得した。気分的にも初得点を決めたチームの方が余裕が持てるし、「この試合イケる」と思い込めるんですよね。


「言われたとおりに出来た・・・」


点を取った喜びもありましたが、それ以上に嬉しかったのが言われたとおりに動いて、自分が動いた結果がシュートにつながった、ということ。これが嬉しくて、嬉しくて。


試合に集中してたんでしょうね、ミスをしても怒られることなく(恐らく積極的に動いていたから)、そしてディフェンスではブロックをしてといった感じで。前後半通してこちらがリードしてました。そして笛が鳴ります。


「ピピーッ!! 試合終了」

 勝ちました。


レギュラーに混じって出た試合で公式戦初勝利でした。

試合が終わり互いのベンチに礼をして、自軍のベンチにも礼をしたら涙が溢れちゃって(泣)


自分が怒られず、怒鳴られず最後まで試合に出れたこと、勝てたこと、言われたとおりのことが出来たこと、何か嬉しくてたまらなくて泣いちゃったんですよ。


それを見た仲間からは

「お前、まだ1回戦勝っただけじゃねーか。何泣いてんだよ」

とからかわれる始末。まだ1回戦勝っただけで、このあともあるのは自分でもわかってましたけど、泣いちゃったんですよね。


御子柴君みたいな号泣ではないですけど、御子柴君が泣いて、それを仲間がからかう、絵的にはあんな感じです(だからROOKIESハマってしまうんですよね)。

著者の平田 睦さんに人生相談を申込む

続きのストーリーはこちら!

ハンドボール 第六回

著者の平田 睦さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。