双子の姉なっちゃんの話【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
そう、その日はとても星のキレイな夜だった。
車で会社から帰る途中にいつもの本屋に寄る。
田舎ならではの、ただっ広い駐車場のある本屋からは、星空がよく見える。
思わず自分の口から出た言葉に、少し懐かしさを感じてしまう。
星空をみて「キレイ」と思ったのはどのくらいぶりだろう。
心なしか今日は、いつもより星空がとてもキレイに見えた。
私は、ただっ広い駐車場の真ん中に車を停めて、フロントガラス越しの夜空をぼーっと眺めていた。
自己啓発本を読み出してから、会社帰りに本屋に立ち寄るのが私の日課になっていた。
だけど、今日は新しい本を買いたい気がしない。
本屋に併設しているカフェで「今日学んだ事」をノートに書き記す気力もない。
自己啓発本も、異業種交流会も、本当は何だか違うと、どこかで気づいていた。
車の中で、ただ星を眺める。星も月も、小さいころと何も変わらずキレイに輝いている。
そういえば、星を見るのが大好きだったんだ。
双子のまぁちゃんと、布団に入ってからも夜空の下でいろんな話をした。
なかなか寝ないから、いつも両親に怒られてたなぁ。
星空は私たち二人にとって、とても特別で懐かしかった。
胸があったかいものでいっぱいになる。
東京にいるまぁちゃんは元気だろうか。
夜空の下の車の中は、久しぶりのゆっくりとした時間が流れていた。
ぶぶぶっ…
その時、ジュースホルダーに置いていた携帯がガチガチぶつかりながら合図した。
着信先:まぁちゃん
まぁちゃんからの着信だ!
以前は毎日かけていた電話も、
福岡と東京で離れてしまってからは、ほとんどしなくなっていた。
あんなに仲が良かったのに、忙しさに追われて連絡しなくなる日が来るなんて、
子供の頃は考えもしなかった。
ちょうどまぁちゃんを思い出していたところに電話が来るなんて!
久しぶりの電話に嬉しさでドキドキしながら、すぐに電話をとる。
受話器から聞こえたのは、興奮気味に弾けるようなまぁちゃんの声だった。
ねぇ、あの頃の夢、まだ覚えてる?
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