この上なくゆっくり歩いた日

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今日は、何もやることがなかった。


やるべきことはいつでもたくさんある。


僕はまだノーベル賞もアカデミー賞ももらっていない。





外は太陽が照らしていた。


僕は寝床を出て、ゆっくりとその辺を歩くことにした。


これ以上は止まってしまうようなくらいの歩幅でゆっくりと。


迷子の子供が、おろおろと歩くように。




すぐに心の中で声がした。


「もっと、ちゃっちゃと歩きなさい」


「ちゃっちゃ」とは母の口癖だ。


小さいころはよく言われた。


そういえば、この前この口癖のことを母に聞いたら、


「そんなこともいってたけね」


といわれた。


記憶は平等ではない。




外は意外に暑く、汗は背中を伝ったが、


僕は不思議なほど気分が良かった。


なるほど、ゆっくり歩くっていいもんだ。

みんなの読んで良かった!