中国人と結婚したゆとり教育の被害者が世界学力ランキング世界1位の中国上海の教育を語る

英語教育の被害者が留学し虐められ17歳で起業、20歳で出版、そしてオックスフォード大学院ロンドン大学院ダブル合格

を読んで頂いた方に、中国の教育について詳しく知りたい!というメールを頂いた。そこでゆとり教育の被害者が見た世界学力ランキング1位の教育を語りたいと思う。

世界学力ランキング1位 中国の教育

中国人と学生結婚して圧倒的な差を感じる

なぜ僕が中国の教育に興味を持ったのか?

それは大学3年の時、僕は上海の所謂エリート教育を受けてきた中国人の方と国際結婚をしたことにある。何に魅了されたかというと彼女の美貌。ではなく、彼女の言語力と頭の良さ、そして強さである。

初めて中国に行った時のこと。彼女とタクシーに乗り、日本語で話していた。目的地に到着し、降りようとすると、本来、50元程度の運賃のはずが、そのタクシーの運転手は300元請求してきた。彼女は日本語から中国語に言語を切り替え、タクシーの運転手に対し論破し始めた。タクシーの運転手は一言も語ることなく困った様子で彼女に只々お詫びをしていた。タクシーの運転手は日本人観光客だと思い、ぼったくろうとしていたらしい。

映画館でチケットを買うため列に並んでいた時、2人組の若い中国人が割り込み横入りをしてきた。彼女はその2人を列から引っ張り出し、列の最後尾に行くよう論破し始めた。不貞腐れた態度を取る相手に彼女は正論であることを訴えた。

このような圧倒させられたエピソードは数多くある。

中国の教育では「論破する力」を育てている。それは日本人に一番足りていないものであり、グローバル化の世界では不可欠なものである。日本国内では「和を重んじる」「遠慮する」「空気を読む」といった世界に誇る貴重な文化があるが、時に論破する力も必要となる。日本は閉塞的で内向き、下向きな人間を生み出し続けている。世界で通用する力を育てる中国の教育力とはどのようなものなのかを紐解きたい。

PISAの世界学力ランキング

これは経済協力開発機構(OECD)による国際的な生徒の学習到達度調査PISAの2009年度の結果である。数学的リタラシー、科学的リタラシー、読解力の3項目に於いて全て1位を独占しています。

日本は2000年度の調査で数学的リタラシーの分野で世界1位を獲得しているが、2009年度の結果はこのようになっている。

海外進学のためのTOEFL? IELTS? SAT?

世界一位の学力を誇る中国上海に教育視察のため3度足を運んだ。現地に到着してまず着目したのは街中にTOEFL, IELTS, SATの文字が溢れていること。教育産業が盛んな上海では、個別指導や進学塾の広告、まるで芸能人のような先生が宣伝頭になって繁華街の広告塔となっている。海外進学のためのイベントには大量の学生が押し寄せ、海外大学の入試担当者に対し、自分のレジュメを持ち、英語で必死に自己アピールしているのを目の当たりにした。

中国政府は世界のグローバル化に対応する自国の国際化にあたって、国際コミュニケーション戦略を重視している。上海の高校生の半分以上が海外進学を望んでいる。

修学旅行は世界の名門大学

僕がオックスフォード大学に留学している時、衝撃的なものを目撃した。それは中国人の修学旅行団体。赤い段幕を広げオックスフォードの図書館の前で写真撮影を行っていた。日本人が京都に行っている間、中国では世界の名門大学を訪問しているのだ。

そしてハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)にも中国最大の英語塾「新東方」の団体ツアーで溢れかえっていた。メインキャンパスの半分以上が中国人観光客であった。


誤解して欲しくないのは中国人の全員がこうゆう経験をしているわけではない。これはごく一部の恵まれた中国人の一例である。

中国の早期英語教育

現在、日本では早期英語教育に関する議論がなされている。2011年度の学習指導要領施行に伴い、小学校での外国語活動が必修化された。僕が小学校高学年の時には、週に1回ALTの英語のネイティヴスピーカーが30人クラスでゲームや英語での挨拶等の授業を行っていたのを覚えている。現在は小学校5年からの教科化に向けて文部科学省も動き始めている。

中国では全国の小学校に英語教育を導入していて、一般には小学校3年から始まり、週4時間が基本であるが、主要都市では幼稚園から英語を教えるところもあり、週5、6時間英語を教える学校もある。上海の多くの小学生は塾に通い、小学校1年生から英語を学んでいる。僕がインタビューした高校生の中には幼稚園から英語学んでいるという生徒も数多くいた。

日本の学習指導要領では「外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。」と謳っている一方で、上海の小学生はパワーポイントを使った英語でのプレゼンテーションを行っている。

上海の英語教師

僕が訪問した上海の高校の英語の先生は全員修士課程を修了し海外留学経験があった。理論と実践を組み合わせた迫力ある授業であった。授業では巨大液晶スクリーンとプロジェクター、音声を活用してインタラクティブな授業を展開していた。中国語は一切使わず、オールイングリッシュの授業を展開していた。最も驚いたのは授業後の職員室での出来事。僕が英語の先生に授業に関してインタビューをしていると、高校1年生の生徒が集団で英語の質問をしに職員室の前で列をなしていたこと。さらに彼らは先生に英語で話しかけ、英語でメモをとり、英語でお礼を言ってその場を去っていった。僕は開いた口が塞がらなかった。

教員養成機関である師範大学の英語科では、「英語教授法」を必修科目として学び、英語教育の原理、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング力を育成する方法、音声・語彙・文法・の教え方、授業の仕方、教具の使用法、課外活動の形式、テストの理論と方法などを学ぶ。英語の授業は英語で教えるという考えが広く、教師側からすると、授業で英語を使わなければ自分の英語力は低下すると感じるという。授業形態は「教科書学ぶ」のではなく、「教科書学ぶ」ということを基本としている。

教員同士で切磋琢磨

僕が訪問した上海の高校では毎週、他の教師の授業を観察し、評価する機会がある。僕が参加させてもらった英語の授業にも8人の先生が授業に参加し、クラスの後ろに椅子を並べ評価表を記入していた。他の教科の教師からのフィードバックを受け、教師は自分の授業を撮影するなどして日々授業の質の改善を試みている。研究目的で日本の公立学校に授業参観をお願いした時に、僕は何度も断られていたが、中国では研究内容をお話しすると、どの先生も快く受け入れてくれた。先生の授業に対する自信ややる気が漲っているのを感じた。

中国の英語の教科書

上海の書店に行き、上海の学校で使われている教科書や参考書を学年毎1年分購入してきた。

東京外国語大学の投野由紀夫先生が行ったアジア各国と日本の中学校の英語教科書比較の研究がある。

このデータは英語教科書3年分のテキスト本文の分量比較、つまり教科書の厚さと解釈できる。中国は日本の4〜6倍。日本では未だに文法訳読式の論文のための授業を行い、大学入試もその力を求めている。上海の高校3年生の教科書を見るとTOEFLに対応できるようなハイレベルなものになっている。教師用の教科書にはリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能統合を意識したものになっていて、授業内では必ず生徒が英語で発言するような構成となっている。教師のやる気に加え、教科書までもがハイレベルなものである。

中国の先生と生徒の関係

上海の小学校である小学生のクラスを廊下越しで見学していた時、廊下から小学生が大きな声で「1、2」と叫んでいる場面に遭遇した。すぐにビデオを向け撮影すると、それはクラス移動をする小学校低学年の生徒だった。日本の「前〜習え」に近いものはあるが、迫力と緊張感、先生の厳しい視線が違う。下記のリンクから動画をご覧ください。

動画:クラス移動する中国上海の小学生

中国の教育において「先生」は尊敬される存在です。この動画では子供たちが「老师好(=先生こんにちは)」と挨拶をしています。British Councilの記事でこのようなものを見つけました。

1: Hierarchy is important

‘Lǎo shī hǎo’, (老师好)or ‘hello teacher’ along with a little bow of the head is the greeting that all Chinese students give their teachers. This isn’t exclusive to the classroom but extends everywhere on campus, making the journey between lessons a little longer than usual. In England, no one but the biggest ‘suck-ups’ would say hello to teachers in the hallway. From what I remember of being a pupil at school, the usual approach was to avoid eye contact and any kind of interaction until forced to in the classroom. The very polite behaviour of these students is a perfect example of the overall importance and respect for hierarchies in Chinese society. Teachers are to be respected because they are above students in the hierarchy – simple as that.

動画:先生に挨拶する中国の小学生

1日2回のラジオ体操?

朝礼が始まるから校庭でここで待っててください。と訪問先の教頭先生に案内された。

数分後、掛け声とともに校舎から生徒が駆け足で列を作った。体育着のような制服のような、とりあえず統一された服を着て、生徒が胸を張って立っている。すると中国の国家が流れ始め、生徒は国旗に向かって敬礼をしている。そして、音楽が流れ始めた。中国語で「1〜、2〜、3〜、4〜、5〜、6〜、7〜、8〜」と全員の生徒が大声で叫び、体を動かし始めた。ラジオ体操にしてはスパルタ過ぎると感じた。僕は教頭先生に尋ねた。

この踊りはなんですか?
体操することにより、体内に酸素を入れ、集中力を高めることができます。
なぜこんなにも必死に踊っているのですか?
各学級の列に高学年の先輩が立ち、しっかりと踊っているかを評価し、担任の先生に報告します。

きちんと踊らないと担任の先生に厳しく指導されるそうです。中国ではこれを1日2回、朝と昼行います。生徒だけでなく、先生も。日本の集団行動も世界的には珍しいものだと思っていましたが、ここにはもっと厳しいものがありました。非常に面白い習慣です。

動画:中国のラジオ体操

中国では海外進学が当たり前

文部科学省が2013年に行った日本の高校生の留学に対する意識調査では58%の高校生が留学したいと思わないと回答した。

このグラフはアメリカへの留学生数の推移(上位6カ国)を表したものである。中国人の伸びに反比例して日本人の留学生数は減少傾向にある。大学全入時代に突入し、日本人は安定志向、そして平和ボケしている。少子高齢化の影響でこれから人口が減り続ける日本で、日本人は世界で戦うチャンスを掴みとらなければならない。

※出典元:IIE「Open Doors」Institute of International Education

財団法人日本青少年研究所が2011年に日本、アメリカ、中国、韓国で行った自己評価に関する評価で以下のような結果が出ている。日本の高校生の自分に対する評価は他参加国に比べ極めて低く、内向きな日本人の象徴とも言える。やりたいことが見つからない、夢がないといった多くの高校生に指導してきたが、海外に出ることで新しい自分を見つけるきっかけとなる。

米国と中国の高校生は自己肯定感(自尊感情)が強く、日本高校生の自己評価が最も低い(以下の数値は「全くそうだ」の比率)。

「私は価値のある人間だと思う」:日本7.5%、米国57.2%、中国42.2%、韓国20.2%。

「自分を肯定的に評価するほう」:日本6.2%、米国41.2%、中国38.0%、韓国18.9%。

「私は自分に満足している」:日本3.9%、米国41.6%、中国21.9%、韓国14.9%。

「自分が優秀だと思う」:日本4.3%、米国58.3%、中国25.7%、韓国10.3%。

財団法人日本青少年研究所(2011)「高校生の心と体の健康に関する調査—日本・アメリカ・中国・韓国の比較—」調査概要

ゆとり教育世代の英語教育改革

これは日本の教育の一番の課題だと僕は思う。英語教育云々の話ではない。ゆとり教育を受けた若者こそが現場を理解し、アクションを起こしていくべきだ。日本人は英語でも日本語でも自分の意見を持ち、自己主張をして、論破する力が必要である。30歳になるまではこれからの世界で戦える日本人の育成に僕は全力で取り組みたい。

嶋津幸樹Facebookページ

英語教育、海外進学、英国大学院、英語学習法について情報配信します。

あなたの人生の物語が書籍やドラマに! カタリエ 開催中

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。