それは「心に風邪を引いた」ことから始まった②
徐々に進行していったウツ
私が気を失うようなショックなことがあっても
何日もかけて取り組んでいたデータベースが消失しても
当時の上司も同僚も、まるで、他人事。
「保存していなかった方が悪いんじゃない?」
「今までの残業代がもったいなかったねー」
まあ、確かにそうだ。
仕事の妨害をするような人が社内にいるということを
誰も取り上げてはくれなかった。
同僚は逆に自分に危害がおよんでくるのを恐れて
誰も私に近づかなくなり
お昼ごはんもひとりで過ごすようになった。
私も誰が消したのかを追求してほしいという気もなかったし
(誰だかはわかっていたから)
もう1回やり直せばいいと、我慢して大事にはしなかったのだ。
(何の為にこういうことをするんだろう…)とは思っても
本人に問いただすこともなく、淡々とデータベースを仕上げた。
ただ、初期状態に戻されていたPCを目の前にして気を失って以来、
通勤の電車の中で具合が悪くなって
途中で降りてしまうことが増えていった。
夜中に何度も目が覚め、寝付けない。
突然、訳もなく涙が出てくる事もあった。
そんな状態が半年も続いていて、気づいたら病院の手術台に寝かされていて
医者に呼びかけられて起きたということがあった。
街で突然倒れていたらしい。
五反田で降りたのは覚えているけど、その後全く何も覚えていない。
「頭打っているから、ゆっくり自宅に戻って安静にしていて」
と、医者に言われても事情が呑み込めなかった。
後頭部にざっくり15㎝ほどの切り傷が出来ていた。
見知らぬ人が救急車を呼んでくれたのか…
それでも自分が置かれている状況、侵されている病には気づかず
時々通勤途中で具合が悪くなりながらも
眠れない夜が続いていても
上司以外の誰とも話すことがなくても
仕事を続けていたのだ。つづく
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