【Part 3】 「26歳、職ナシ、彼女ナシ、実家暮らし男子が、とりあえず、統合失調症になってみた。」

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 次に、BEAMSに行った。


 

ひろ
「ここは、レディースもあるし、モテる為には、女性のファッションも知っておくべきだぞ。」
くわばら
「う、うん(あぁ~、時間が…)」
ひろ
「ところで、買いたい奴は見つかった?」
くわばら
「いや、ここも値が張るよね~」

 休憩。


 ドトールに15分。


 結果、自分が服を買うまで、町田の街中を6時間かけずり回った。


 剣道部に所属していたひろは、体力が有り余っており、自分は付いて行くのがやっとだった。


 しかし、ある古着屋に入り、茶色のコートが目にとまり、買う事にした。


ひろ
「いいじゃん!似合ってんじゃん!!」



 ひろの絶賛に、自分は陶酔した。


 四千円あれば、ゲームが四十回出来る。と、思いもしたが、ひろは、洋服を買うまで、帰らせない。「とんねるずのみなさんのおかげでした」の、若手芸人に時計を買わせる企画さんばりのしつこさで、買う事を余儀なくされた。


 別の日、その洋服を着て登校するのが、少し恥ずかしかった。


 「こんな私が、大学デビュー!?」


 とある有名バナーの女の人と同じ心情になりつつ、学校に到着すると、自分の想像していたリアクションとは、逆のリアクションが返ってきた。


大学の友達
「くわまん、似合うじゃん!!」

大学の女友達
「くわばらくん、それどこで買ったの?」


 


 慣れないヘアーワックスと、思い切ったアシンメトリーの髪型も手伝って、見事、ひろのおかげで、大学デビューを果たすことが出来た。


 この事を話すと、ひろは、


ひろ
「くわまんが頑張っただけだ。俺はその手伝いをしただけだ」



 と、しびれる言葉が返ってくる。


 自分の唯一無二の友人、いや、親友が、なにを隠そう、このひろである。






・とりあえず、「FINE BOYS」読んどけ!


 人と言うのは、一度褒められると、図に乗る。良く言えば、もっと褒めてもらいたい存在である。


 もれなく自分もそうで、今まで18年間無縁だった「オシャレ」という部分が開花し、自分でも、洋服屋を巡ったりしたりしていた。


 そんな時、ひろに手渡されたのが、「FINE BOYS」であった。


 学校の図書館で、


ひろ
「くわまんは、やっぱこれだな」



 と、手渡されたのを覚えている。


ひろ
「これ読んでおけば、大丈夫だから。」



 そう言ってひろは、仲間内の会話の中に入って行った。


 自分は一人、黙々とFINE BOYSを読みあさった。芸人・エレキコミックのツッコミ怪獣担当、今立進(いまだち・すすむ)さんも大学生の時に愛読していたこの雑誌。何より、分かりやすい。ひろに教えられたのは、


 

「ここに載っている洋服屋で、その洋服を買うんじゃない。ここに載っている洋服と似たような感じの奴を、安く買うんだ」



 と。


 なるほどな~と思った。


 RPGで、防具を入れ替えるのと同じ感覚で、自分の身をコーディネイトして行くんだと感じた。


 ゲームが好きな自分は、すんなりと受け入れることが出来た。






・「結婚相手の見つけ方」


 ゲームで言う、「頭を守る防具が売っている道具屋」を、現実世界に置き換えると、そこは、

「美容院」である。


 美容院で出会った素晴らしい人がいる。町田にある美容院に勤めていらっしゃる方だ。


 今は、自分が町田を離れて、実家に暮らしているので、髪を切りに行ってもらっていないが、その女性には、髪型だけではなく、本当にいろいろなことを教わった。


 中でも印象的だったのが、


 「結婚相手の見つけ方」


 だった。


美容師のお姉さん
「私は、周りに、『良い男がいない』、『良い男がいない』と、言いふらしていた。でも、ある日、店長に言われたんだ。『人は、自分と同じレベルの人間としか、一緒にならない。良い人が見つからない。っていうのは、自分がそれぐらいのレベルってことだよ。本当に良い人を見つけたいんだったら、自分のレベル上げてみな』って、言われたの!そこから、姿勢を正したりとか、仕事により一層身が入って今の相手が見つかったんだ~」


 という内容だった。


 自分は、今でもその笑顔を忘れていない。自分の今にも通じるところがある。愚痴愚痴と悪口を言い続けるグループと、テキパキと仕事が出来るグループ。どちらに所属したいか。答えは明白だ。だったら、あとは行動に移すのみである。


 また、東京行くときに、髪、切ってください!ギッチギチのアシンメトリーでお願いします!!






 大学二年生




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