第15話『元奥さんの優しさ』 大手企業で重度のうつ病を発症し、里帰り出産の妻から離婚され、約一年間自殺願望の消えなかった僕に深い愛情で接してくれた両親のおかげで、うつ病克服専門心理カウンセラーという天職に出会えた話

前編: 第14話『東日本大震災の翌々日ついにうつ病に』 大手企業で重度のうつ病を発症し、里帰り出産の妻から離婚され、約一年間自殺願望の消えなかった僕に深い愛情で接してくれた両親のおかげで、うつ克服カウンセラーという天職に出会えた話
後編: 第16話『約1週間後からは徐々に回復』 大手企業で重度のうつ病を発症し、里帰り出産の妻から離婚され、約一年間自殺願望の消えなかった僕に深い愛情で接してくれた両親のおかげで、うつ病克服専門心理カウンセラーという天職に出会えた話

 一緒に住んでいた元奥さんからは、「病気なら仕方がない。家で大人しく寝ているように」と言われた。怒ることもなく、僕の状況を理解してくれ、休職に納得をしてくれた。実際、心の中は嫌だっただろうと思うが、それでも嫌な顔をせずに、僕を受け入れてくれた。





 それで僕は少し安心し、療養に専念することになった。療養開始時は、すぐうつ症状が現れた。まず気力がない、胸が苦しい、頭が回らない、判断力・決断力がない、不安・恐怖・焦りに駆られる、体を動かすのが億劫、人と話すのが億劫という、典型的なうつ病の症状だった。


 ベッドで寝ているだけだったが、とても辛く、苦しさに襲われた。精神的な苦しさというのは、肉体的な苦しさと違って、すぐに回復することはない。医者からもらった薬を飲んでも、効いてくるのは2週間後という話だった。僕はそんなに待てないと思ったが、それは仕方がない。その間は不安と恐れで、ほとんど動くことができなかった。





 休職して、最初の3日間は睡眠障害が出た。中途覚醒をするのだ。中途覚醒とは、夜中に目が覚めて、そこから一睡もできなくなるという症状だ。僕は一緒に寝ていた彼女を起こすことはせず、ずっと寝られない苦しさに耐えていた。悶絶とはこのことだった。心臓が痛い、心が苦しい。締め付けられる感じだった。





 そうして夜が明けると、彼女が起きて、心配そうに尋ねくれた。「大丈夫?」と。とても大丈夫なんかではなかったので、「大丈夫じゃない」と答えた。それを聞いて彼女は、「今は休養することが仕事だから何もしなくていいよ」と、優しく言葉をかけてくれた。僕にとっては、本当にありがたい言葉だった。僕のうつ病を全面的にパックアップしてくれたのだ。


 日中は何もすることができず、ただ天井をボーっと見つめていた。ペットのゆうちゃんが飛び乗ってきても、遊ぶ元気もない。寝返りをうつのもしんどさがあった。「こんなことで俺は大丈夫だろうか」「生活していけるのだろうか」と不安だったが、彼女も働いていたため、とりあえずの生活に困ることはなかった。


 僕のほうは僕のほうで、健康保険組合から、傷病手当金が出て、給料ほどではないが、生活に困らないだけのお金は支給されていた。二人の支給額を合わせると、それなりの金額になったため、なんとか暮らしていくことはできた。





 しかし、うつのほうはとても辛く、約2週間ほどはほとんど動くことができなかった。ご飯とトイレに行くのも命からがらだった。何もしたくない。息をするのも苦しいほどだった。1日中家にいて、彼女をベッドから見送って、帰ってくるのもベッドで待っていた。ご飯は全て彼女に任せ、掃除、洗濯などの家事も全部彼女任せだった。今思っても、本当によくやってくれていたと思う。僕は彼女に頭が上がらなかった。一切のことを引き受けてくれて、それでいて仕事もこなして、「すごいなぁ」と思っていた。僕なんて、仕事もできず、家事もこなせないなんて、なんて自分はダメ人間なんだと思っていた。うつになると自責の念に駆られると言うが、まさにそのとおりだった。自己嫌悪、自己憐憫の連続だった。自信もなかった。気持ちという面では、全てがマイナスの方向を向いていたように思う。嬉しい、楽しいという感情はなかった。ただ辛いという感情だけだった。





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第16話『約1週間後からは徐々に回復』 大手企業で重度のうつ病を発症し、里帰り出産の妻から離婚され、約一年間自殺願望の消えなかった僕に深い愛情で接してくれた両親のおかげで、うつ病克服専門心理カウンセラーという天職に出会えた話

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