公園で見知らぬ子供10人を説教していたら、親がぞろぞろやってきて…

■何げない休日



とある日の昼下がり

天気が良かったので、私は近所の少し大きめな公園でランニングをしていた。


ちょうどゴールデンウィークという事で、BBQをしている団体がおり人口密度は高かった。


BBQの煙がランニングコースに流れ、いつものコースと雰囲気は違っていた。

走っていると子供達が10人位で遊んでいるのが見えた。 



私はこの公園で、ときどき10才位の子供達にサッカーを教えているので、

顔見知りの子達ではないかと思い、その集団を眺めていた。


しかし、知っている少年は一人もいないようだ。


ひとしきりランニングを終え、休憩していると少年達は2つのグループに分かれていた。

公園の向かい側の住宅の前で、クスクスと笑っている。

しばらく見ていると


「逃げろ!!」

「わぁ~」 

少年達が公園まで走って戻ってきた


「今ハーイって言ってたよww」

「宅急便で~すって言ってみようかww」

2人の少年はこんな調子だったが、残り2人は

「ハァハァハァ・・・怖かった~」

と後をついているだけのようだった。


どうやら公園一帯にある家をピンポンダッシュして遊んでいるようだ


初めは子供のやる事だからほっておこうと思い

ぼんやりと見ていると少し遠くから主婦が出てきて 


「あんた達しつこい!!」 


と、一喝すると走るわけでもなくこちらへ歩いて向かってきた。 


子供達は一勢に逃げ出した。 

自分のすぐ側を駆け抜けていく子供を追いかけて 

2人の腕を掴み捕まえた!! 


追ってきた主婦は自分が保護者で子供を叱ってると思ったのか、

おとなしく家に戻って行った。 


「お前ら全員捕まえてぶっとばすからな!!」


私は近くにいた他の2人を呼び寄せ、さらに全員集めるように指示した。 

公園の一角に子供達が集まった。 

その光景を見て、どこからか親御さんらしき若めの主婦が数人寄ってきた。 


ちょっと、何かあったんですか!?

すぐそばでBBQをしている集団の主婦3人だった。 


お前達、自分が何してたか言ってみろ!
子供たち
・・・・・・・・


子供達は何も言わない。 


さらにその子の親父達が集まってきた。 

父親たち
お前たちどうしたんだ?

さすがに自分より年はかなり上だろうけど、 

容赦なく言ってやった。 


「あなた達がのんきに酒飲んでる目と鼻の先で、子供達がピンポンダッシュをして、近所の人達に迷惑をかけていたんですよ。 


あまりにもしつこいようで、家から飛び出してきた人もいたので見てられず、注意しました。」


すると 

え?そうなんですか?


それはスミマセン
みんな、野球やってるんだろう!?ちゃんと謝れ


子供たち
すみませんでした~


いやいや・・・・

「私に謝ったところでしょうがないので、近隣一帯に謝りに行くのが筋じゃないですか?」

そう伝えると、親達は「ダメじゃないか・・・」となんともゆるい叱り方をしていた。 


これ以上介入する必要もないと思ったので、後は親に任せようと思い

それだけで自分はまた走り出した。 

団体がまだいる中、周囲を走っているのもなんだか気まずかったが、気にせず走った。 


しばらくすると集団が、住宅街の方へ歩きだした。

公園向いの家の前で親と子供達が立っているのが見える。 


謝りに周っているようだった。

意外としっかりしてる親で安心した。 

しばらく走って、帰ろうと思ったとき、後ろから大きな声で呼び止められた。 

「すみませーん」

子供と親たちが固まって呼んでいる。 

何か勘違いでもあったのか?と思ってゆっくり歩いて行った。 


さっきはスミマセンでしたー!
スミマセンでした!

私はそのキビキビとした礼に対し子供たちの誠意を感じたので

「今後気を付けて下さい、じゃ!」と一言だけで立ち去るのも薄情な気がしたので


ついこんな説教をしてしまった。


「おう、大丈夫か!?お前達な~、悪い事する時ドキドキしただろう?  

もし捕まえた人が本当に怖い人だったらどうするんだ?


今日、この事で悪い事をしてドキドキする勇気を、

次からお前達は悪い事をしている友達を注意する勇気に使ってほしい。

自分はやってないから関係ないとかじゃなく、仲間がやった事はみんなの責任なんだ。 


野球でもサッカーでもチームが負けたらみんなが負けた事になる。 

自分がミスして負けたらチームが負けた事になる。 

だから、今回やってない人も注意をできなかった事として責任がある。 


もし、これから注意できるような人間になれれば、きっといい大人になれる。 

だからそういう人になってください。 」

はい!

「それと、自分もこの近所の住人です。 

また顔を合わせる事があるかもしれないけど、怒られたからと言って、気まずくなって下を向いたり、無視したりしないで、堂々と挨拶ができるようになってください。

 いいね?ありがとうございました。」 


何故”ありがとうございました”と言ったのかわからないけど、 

人前でしゃべった後はそういう癖がついてしまったようで…。


そう言うと子供も親御さん達も

「ありがとうございました」

と言ってきた。 


なんだか子供達のコーチをしているような感じだった。 


私は6年前、横浜にあるプロサッカーチームで働いていた事もあり、

コーチング指導を受けたり、プロの選手が一丸となって戦っている姿を見てきたので、

随分と影響を受けたようだ。

----------------------------------------------------

そんな私も実は来年父になる


私はむかし不良だった事もある。

父は短気で話をするより先に手が出るタイプだった。

聞く耳もたぬ感じが子供心に信頼されていないと思っていた。

悪い事をしていているとわかっていても、後ろめたさから

また仲間とつるみ、親と距離をとり、

素直になるには時間がかかった。


私は子供が何を目指し、どう生きようが自由だが

今回この一連の出来事を思い出すに当たり、

出来る限り、自分の子供には悪い事をしたとしても潔く反省し、

颯爽と前向きな人生を歩める人間になってもらいたいと思った。


自分自身もそういう父でありたい。


※この内容は2010年当時、mixiの日記に書いた実話です。子供ができる事がわかり、昔のデータを

引っ張り出し、今の気持ちでまとめてみました。

著者のChinjyao Losuさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。