「ある7月の晴れたさわやかな日のできごと。」最終話
その時の彼女の目はこの日の快晴のように澄んでいた。
生命に満ちあふれる目。
そこに不安や懸念といった負の感情は何もない。
あの時のとは違い彼女も成長した。
しっかりと未来は見えていた。
「じゃ、行くね。」
さゆりは自転車を加速させる。
さゆりの自転車は軽やかに3人の乗る自動車を越えていく。
ミーン ミーンと一斉にセミが鳴き始める。
今年はやはりオスが多いようだ。
彼女の目がさゆりから”離れる”。
”「ああやってオスゼミは彼女を捜してるんだよ。さゆりにもいつかわかる時がくるさ。」
と父は言った。”
家族がパーキングエリアに着いた時、さゆりの姿はどこにもなかった。
後日警察による捜査が行なわれ、地元住民の協力もあったが、さゆりの姿を見つけることはできなかった。
ある7月の晴れたさわやかな日のできごと。
【Fin.】
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