【Part 7】「とりあえず、統合失調症患者になった自分が語る、26歳の人生。」~祖父の死~

2 / 3 ページ


 ダライ・ラマ14世・「ゆるす言葉」である。中でも印象的だったのは、


 「「“ゆるす”という行為は、相手を無罪放免にするわけではなく、自分自身を自由にする行為。」


 そうか。許せなかったんだ。元カノの事を。すぐにミクシィのメッセージで謝罪の文章を入れた。


 そうすると返信が来た。


 

元ガールフレンド
「夏目漱石のこころの一節を、人生の指針にしていた時があったんです。それを知ってほしかっただけです。」



 自分は許せなかった相手を許すことが出来た。相手も、許せなかった相手を許すことが出来た(と思いたい)。 


 その後、彼女の働く喫茶店に行き、「お疲れさまでした!」と、言う事が出来た。


 これで、彼氏彼女の関係から、店員といち客の関係に戻ったのだった。






・「もう一度働かないか?」コンビニ先での打診


 4月に始めた市役所勤務だったが、祖父の死と過労により、ろれつが回らなくなり、辞職を余儀なくされた。


 そんな中、3月まで働いていた、アルバイト先のコンビニから、「もう一度、働かないか?」という打診があった。


 しかし、体調の面。ガミガミ言うおばさんの件もあり、いったん保留にしてもらった。


 お金はほしいが、働ける自信が自分にはなかったのだ。しかし、またここで、自分の中に、大きな転機が訪れる。






・Please! 10thイベントを見て、突き動かされた。


 「Please!」と言うのは、前述の「おねがい*ティーチャー」、と、その続編の「おねがい*ツインズ」というアニメの制作集団である。


 2002年に、「おねティ」、2003年に「おねツイ」が発表され、10年以上たった今でも、根強いファンがいる人気作品だ。


 その作品のイベントが、2013年8月に、パシフィコ横浜で行われると言う事で、足を運んだ。


 サクラ大戦のDVDを、泣く泣くほとんど売り飛ばし、旅費を稼ぎ、いざ横浜へ。


 横浜へ行く途中の副都心線で、


 「テンションの高い、くわばらかずやは、この世に存在してはいけないのではないか。」と、相当、うつの気が出ていた。


 しかし、5,000人を埋め尽くす会場。司会者の金田朋子さんの傍若無人っぷり、井上喜久子さんの優しさ、岩田光央さんの激しいツッコミ、何より、井出監督の、「朋ちゃん、ありがとう」という、一言には、会場のボルテージもMAXになった。


 楽曲のコーナーもあり、10年前、中学生でイベントに参加できなかった自分を思い出し、泣きそうになった。もちろん、うれし泣きで。


 このイベントを見て、自分は、コンビニのアルバイトを再開しようと決意した。






・やっぱり限界だった、コンビニバイト


 しかし、病魔はそんなに甘くはない。


 ガミガミ言うおばさんに、ガミガミ言われた。


 ちょうど、シフトが変わる、10時前後の事だ。アイスコーヒーの氷の入ったカップを、後ろの冷蔵庫に入れていると、


 「3段目と4段目に、敷き詰めちゃだめでしょ!!入れ直して!!」


 と、激昂された。


 自分は、卒倒した。


 その日も体調が悪く、バイトを始めて3時間ほど経った辺りから、立っているのも限界で、やっと帰れると思った時、その罵倒。


 後日、店長から、


 「とりあえず、頭を支えてくれなかったら、頭ぶつけてるし、何より、支えてくれた人、くわばらくんの頭で口が切れているから、謝ったら?」


 と、言われた。


 謝る気持ちが無くても、謝れと言われれば、謝る。それが自分のポリシー。


 「あの時は、すいませんでした。」


 と言うと、腫れものを触るような眼で、避けていった。


 その後、自分に注意する時も、


 「あ、この人、俺に気を遣ってるな」


 と、分かりやすい態度の変化に、辟易としていた。


 その間も、絶好調で体調は不調になっていった。






・頭は冷静。身体はダンシング。


 ある時、臨界点を超えた。


 コンビニのバイトと言うのは、見かけ以上に、精神を使う。


 それが、統合失調症の自分にとってみれば、なおさら追い打ちをかける行為だ。自分は、ノックアウト寸前だった。


 薬を服用しながら、バイトのレジに立ち、意識が朦朧としながら、シフトを上がった。その後もぐったりとしたまま、体が動かなくなった。


 それを見た、店長とオーナーが、大丈夫か?と、心配をしてくれていたが、自分は、


「大丈夫れす。大丈夫れすから。」


 と、全然大丈夫ではない状況だったが、帰ろうとした。


 喉が異常に乾いたので、オレンジジュースを買い、駐車場に出ると、体が突然、暴れだした。


 しかし、いつもと違うのは、

著者の桑原 和也さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。