【Part 9】「とりあえず、統合失調症患者になった自分が語る、26歳の人生。」~精神病棟へ入院編②~
何がすごいって、
と、何十回も多数言われたからだ。
二人で会っちゃ、バカな話もしたし、自分のメガネが、ウルトラマンみたいだねと言う話になって、「ジュワッチ!」と言われた事に、気分を害しました。と、ちゃんと言える仲だった。
そんなオシミさんは、自分より早く退院した。どうやら、自分で働いて、障害基礎年金を貰わないようにしたいようだが、貰えるものは、もらったほうがいいという、個人的見解がある。
中でも、一番印象的だったのは、自分が、見よう見まねで、「英語だけでスターバックスの注文をする」という、エチュードをしたとき、それを見たオシミさんは、
と、言ってくれた。
自分の中で、後光が差したような気がした。そうか。俺、英語喋れないんじゃいん。喋らないんだけなんだ。
そう思うと、英語を使いたくて仕方ない状況になってくる。
2泊3日の外泊の時に、スターバックスに行き、英語だけで注文することを実践したり、退院後、英語塾の体験入学をしたりと、自分の英語観を変えてくれた恩人でもある。
・バカな考えは捨てろ「ヒラハラ」さん。
作業療法室で一緒になった、ちょっと強面なおじさんが、ヒラハラさんだ。自分の名字、「くわばら」の由来をずばり言い当てたり、
「光合成の三要素。水。光。あと一つは?」
というクイズ番組の問題に、皆が悩んでいるとき、ふらっとやってきて、
「二酸化炭素。」
と、カッコよく決める渋いダンディな男の人だった。
その人は、なぜ入院をしているかは聞かなかったが、フリーランスのライターをやっていて、パソコンを使わない、アナログなライターだという。
「今の時代、逆に手書きの方が重宝がられるんだぞ」
という言葉と、千田琢哉の言葉オーバーラップして、「この人、やるな!」と思った。
この人なら、何でも話せそうだなと思い、
「自分、好きでもない人とまぐわっちゃったんで、おじいちゃん死んだんですかね」
と言ったら、
「誰だ!そんなバカみたいな考え持ってるやつは!そんな考え、捨てちまえ!!」
と、一喝された。
自分は、喝を入れられ、一瞬ビビったが、自分のために、こんなに叱ってくれる人がいるんだと、温かい気持ちになった。
そんなヒラハラさんと、トイレで一緒になった時、
その会話の翌日、ヒラハラさんは、退院された。その会話が、自分とヒラハラさんが交わした、最後の言葉だった。
・ジェネレーションギャップを捨てなさい。「お姉さま」方。
年上のお姉さまが、喫煙ルームにたむろしている。最初は、
「煙草を吸う人は、素行が悪い」
と、勝手に決め付けていて、入れなかったが、徐々に慣れていき、入る事に躊躇が無くなって行った。
さすがに、三人同時に座って吸われると、肺が痛くなる感覚もあるので、そこら辺の塩梅を見ながら、お姉さま方と会話をしていった。
スタバで「ごちそうさん!」と言った話や、これ、図書室(3階にある本棚)に戻しておいてと頼まれたり、情緒不安定だった時、慰めたり慰めてもらったりした。
・一家に一台「タカミアミ」
『一家に一台高城れに』のリズムを、その女性にプレゼントしたら、とても喜んでくれた。
れにちゃんに負けないぐらいテンションが高いその女性は、いつも笑顔だった。でも、天真爛漫さが逆に出て、傍若無人っぷりも発揮されていた。
自分が話したくない気分でも、病室の前で、
「く~わばらく~ん!」
と、話しかけられて、ブチギレそうになった。
中でも、「どうして、そんなに私の事嫌うの?私のどこが嫌い?」と言う問いに対して、自分は、
「そういうところが嫌いです。」
と言ってしまった事がある。
一時、仲が険悪だった時があった。
洗濯物を乾燥室に持っていかなくてはいけない時に、
「ちょっとこっちに来なさい!」
と言われたのを、無視して行ってしまった事があった。
チャンスはピンチ。ピンチはチャンス。
キレイは汚い。汚いはキレイ。
ちょうど、マクベスを熟読していたので、そう思った。謝るチャンスだと思ったのだ。
自分は、喫煙ルームに来たれにちゃん改め、あみちゃんに、謝った。
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