23歳、社会人1年目の僕が“うつ”で死にそうになり、8コ上の萌え声お姉さんの「そっか、あなたは○○をしたかったんだね」というたった一言に泣き崩れ、生きる活力をもらった話。

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うつになってから5日くらい、自分は親に言えなかった。親に会わせる顔がない。親としてみれば、大切な息子が会社でうつになって、会社に行けないような状態になっているなんて、知るだけでも本当に悲しいと思ったし、「3年間は働く」という約束は守れずにこんな状態になっている。




うつの診断をもらっても、とにかく前に進むしかないんだって、心だけは相変わらず焦っていた。苦しいことにも気付かず、相変わらず車を走らせてまた山に来ていた。やっぱり、スーツで。




けれども、体が限界だった。だから早めに帰ってきた。確か18時くらいだった。




その日は病院に行って、改めて診断書をもらった帰りだった。今日は、さすがに両親に言おうと思った。




それで、母さんにメールを打った。自分がうつになったこと。会社には5日前から行っていないこと。そして、ここしばらくはふらふらしていたことをメールで伝えた。





あの時は怖かった。何を言われるのか分からなかった。すると。




母さん
早く帰ってきなさい。今日は夕飯たくさん作ったよ。




そう返ってきた。ありがたかったのと、罪悪感が同時にわいてくる。こんな息子で本当にごめんなさい、と。




そして、夕飯を食べてまた部屋に戻り、21時くらいに親父が帰ってきたから、リビングに戻った。僕はここまでの話を淡々と話そうとした、けれども悔しくて辛くて、こみ上げた想いがどんどん溢れてくる。




自分のふがいなさや、それでも突破できない心、何もかも破壊されてしまって、どうしていいかも分からないこの自分の状態に、最後は言葉にならず、わめいてしまった。わんわんと、ガキみたいに。




そして、親父が一言、優しく共感してくれながら、言ってくれた。



親父
そうかそうか。お前、辛かったんだな。



もう、悔しさと暖かさが同時に出てきて、ますます激しく泣いた。自分の選んだ道への迷い、両親にこんなにも迷惑をかけてしまっていること。そんなのが、たくさん溢れて止まらなかった。





自分はこのとき、先輩や上司からはたくさんアドバイスをもらっていたけど、もうそれが自分への否定にしか聞こえなくなっていて、意識も朦朧としていて、すべてのことが信じられないし、他人も社会も、家族も絶対に自分のことを否定するんだと信じていた。




まさに全てが信じられない、不信の状態だった。





そこで、泣きわめいているところに親父が一言、真っ直ぐに、でも微笑みながら、伝えた。



親父
いいんだ!若いうちの1年や2年、浪人したり留年したと思えばいいじゃねーか。




この言葉が、自分を不信から取り上げるきっかけになったんだと思う。「あ、生きててもいいんだ」なんとかそうやって思えた。そう思ったら色んなことがどっときて、もう眠るしかなかった。ようやく、眠る事が出来た。そして、1ヶ月の寝たきりの生活が始まる。






2010年6月、僕は2度目の休職をする。



1ヶ月だと復帰は難しく、2ヶ月休職というカタチになった。そしてその休職期間も終わりが近づいてきた。僕は1ヶ月経ってからは少しずつ出歩けるようになり、足を遠くに伸ばすなどをしながら、だんだんと復職の準備を始めていた。




「社会不適合」




僕は、この言葉が怖かった。だから無理をしたんだと思う。主治医の先生からは、「こんなに回復するのが早いなんてスゴいですね!」なんて言ってくれていたけど、自分は人に合わせるのが大の得意。




無意識的に、先生にもイイ顔をして、診察の場を乗り切って、早く社会復帰しなければ…と焦ったのだと思う。




だけど僕は、またやってしまった。今度は4ヶ月しかもたなかった。「社会不適合」の仲間入りだ。そして、また布団と自分の部屋を行ったり来たりする生活の始まりだった。





お姉さん
あの時は、私も必死だったんだよ。




当時を振り返って、お姉さんはそう話してくれた時がある。2010年6月、僕が二度目の"うつ"を発症した1ヶ月、お姉さんとのやり取りをたくさんした。




あの春から。




お姉さんとは、その勉強会で会うくらいの関係ではあったんだけど、僕がこんな状態である事を、僕がどうしても打ち明けたかったのだ。友達には中々言えない話。



でも、この人なら何も否定せず、肯定もせずにありのまま受け止めてくれるんじゃないかと、思ったからだった。




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