双子の姉なっちゃんの話③【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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人は無意識に自分で概念を作り出している。

概念という自分だけの思い込みの範囲の中で物事を選択したり行動しているんだ。



私の周りに見えない囲いがある。

今ではそれがはっきりとあることが分かる。



その囲いを越えるかどうかは自分次第だった。



ーー私はどんな人生を生きたいんだろう。



自分の心を見つめる時間が出来た今、私はそんなことを考えはじめた。



会社に戻るとまた壁を越え続ける日々がはじまる。



ーー私はこの生き方が好きだろうか?壁を越えた先には何があるのだろうか?



もしも、何も縛りがなく人生を生きられるなら私はどんな人生を選ぶだろうか?





【ふたりで仕事をする】


今日も8時に退社した。

家への帰り道、ふらっとタコ公園に寄ってみる。

最近はよく東京に来たばっかりの頃、まぁちゃんと過ごした日々を思い出す。


まだまぁちゃんには、体調を壊していることは言っていなかった。


今頃まぁちゃんはどこで何をしてるんだろうか。


なんだかとっても懐かしくなって、

手帳に入れてあったまぁちゃんからの手紙を久しぶりに取り出した。


これは、私が東京に来てすぐにまぁちゃんからもらった手紙だった。

手帳に入れていた事をすっかり忘れていた。


まぁちゃんの特徴的な文字が懐かしい。





『なっちゃん!覚えてますか?あの日の夜、7月の後半やったかな?あの本で出逢ってワクワクの話をしたことを!!


あの時、なっちゃんは仕事も恋愛も全部必死で一生懸命やったよね。


フンッフンッち頑張りよって、でも壊れそうやった気がします。


あの夜、ふたりで描いたビジョンとあのときの強烈なわくわくが、今に繋がったよね!!


なっちゃんは東京に来てから、何だか本当にひた向きで前向きで真っすぐ進んで来たと思う。


素敵な会社に入って素敵な人たちにたくさん会って、ふたりでカフェで語って、考えたら今って愛おしくて幸せすぎるよね!!


お金もないしわがままで先が見えない私をいつも「信じて」くれて本当に本当にありがとう。


悪さをしても許してくれて、小さい時からいつも自信のない私になっちゃんだけは声をかけて信じてくれて、だから私は、やっとここまで来れたと思う。


今日、昔のなっちゃんのことを思い返してみたら、なっちゃんの変わらない性格っち「朗らかさ」と「優しさ」っち事に気づいた。


なっちゃんはよく、「まぁちゃんから愛を学びよん」っち言うけど、よく考えたら小さい頃からまぁちゃんに愛を教えてくれたのはなっちゃんやったなぁっち思い出した。


私たちはひとりやと、よく大事な事を忘れてしまうけど、ふたりやったらずっとずっと忘れんと思う。


ふたりで住んでる今っち奇跡やなぁ〜。


お金もないわがままな私と「住もう!」って言ってくれてありがとうなぁ。


ふたりでいっぱい愛を大きくしていこう。


なっちゃんありがとなぁ。』



手紙を見ながら私は涙を手で払った。

この手紙を見るといつも泣いてしまう。



『私たちはひとりやと、よく大事な事を忘れてしまうけど、ふたりやったらずっとずっと忘れんと思う。』



このフレーズがやけに心に残っていた。



ーーふたりで生きることを選んでもいいのかもしれない。



それは一番の私のワクワクだった。



その日は家に帰って、まぁちゃんに電話をかけた。



会社が忙しくて、頑張りすぎて、自分の心に気づけなかったこと。

もう少しで鬱になっていたことを笑って話した。



明るく話した私とは逆に、まぁちゃんの声のトーンはみるみる落ちて行った。



まぁちゃん
なっちゃん…!!そんなになるまで働いたらいけん!!!こんな時に一緒におれんで…本当に本当にごめんなぁ……



電話越しからもまぁちゃんが泣いてぐちゃぐちゃなのが伝わってくる。本当に私のことを心配していた。



ぐちゃぐちゃのまま、まぁちゃんは私に言った。

東京でふたり暮らしを提案してくれたあの時のように。



…なっちゃん、…ぐずっ、その会社にはいつまでおるん?
私が帰国したら、一緒に仕事しよーよ!旅をしながら!

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