ダメだ、絶対に。

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このまま覚せい剤を使い続けたら確実に死ぬだろうし、または警察に捕まると思う。


昔、何かのドラマで覚せい剤の常用者をベットにくくり付けているシーンを思い出した。
先輩のことを本気で思っているのであれば…


本当にベッドにくくり付けて、体内から薬が抜けるまで一緒にいるしか無い。

それでもダメなら諦めよう。


でも、その時の僕は仕事を休むわけには行かなかったし、返していない借金もまだあったし、ずっと見続ける覚悟がなかった。


今でもそんな自分が嫌になるが、話しが堂々巡りしていく中でもう埒が明かなくなって来たので


「じゃあ、辞めて薬が体内から亡くなっても見えるって言うなら、この薬が無くても大丈夫ですよね?それまで僕が預かっててもいいですか?それでも大丈夫ってことですよね??それを証明して欲しいです。」


「あぁ、大丈夫に決まってる。」


「これは僕が預かります。」

「あぁ、いいよ!持ってってくれて。俺は大丈夫だから。」


トゥルルルルルルルル…

トゥルルルルルルルル…

トゥルルルルルルルル…



「こちらは留守番電話サービスセンターです、、、、」

「なぁ、やっぱ帰ってきてくれないか?」



トゥルルルルルルルル…

トゥルルルルルルルル…

トゥルルルルルルルル…



「こちらは留守番電話サービスセンターです、、、、」

「おーぃ!!聞いてんだろ?戻ってきてくれよな!」



トゥルルルルルルルル…

トゥルルルルルルルル…

トゥルルルルルルルル…



「こちらは留守番電話サービスセンターです、、、、」

「ザっけんなよ!!!!戻ってこいよオラ!!!」



僕はその留守電を聞いた後、コンビニのゴミ箱に




シャブを捨てた。




覚せい剤一瞬所持。


僕は、本当の地獄を見た。



寂しい思い


今まで見てきた男性の中で圧倒的なオーラとカリスマ性があり、憧れの先輩で、いつの間にか毎日一緒にいれるようになれた竜先輩が



完全に人間で無くなってしまった。



人はいい方向にも悪い方向にも簡単に変われると思う。

でも、人はここまで落ちてしまうものなのか?


あんなに格好良くて、実はとても優しかったのに。



竜先輩がシャブをやり始めてすぐの時に、僕に話したことがずっと引っかかっていた。


「お前が彼女を作って遊べなくなったから寂しくなったぜ。」

もしかしたら僕が竜先輩に寂しい思いをさせてしまったのが原因だったのかもしれない。

僕が彼女が出来たからといってもっと遊んであげれば、竜先輩はシャブをやらずにすんだのかもしれない。



再開、そして


そんな思いを感じながら疎遠になり数年後、竜先輩と僕は再開することになる。

誰に聞いても消息不明、死亡説、ブタ箱説、海外説、色々あったが

結局は捕まっていて数年入っていたってことだった。


でも、それで完全にやめることが出来たのだから良かったなって思う。

もしあのまま捕まらずにいたら絶対に死んでるか廃人になっているかどっちかだと思う。



「ダメ。ゼッタイ。」



ってキャッチフレーズがあるけど、それ以外の言葉は見つからない。


間近で変わっていく姿を見ていたから分かるけど

どんなに心が強いと思ってもシャブの力には叶わない。

お酒の依存もヤバいと聞くけどとにかく人格すらも変えてしまう。


もしこれを読んでやっている人、やっている人が身近にいる人は

ダルクなり更生施設に行く、行かせてあげる、警察に出頭、出頭させて欲しい。


死ぬよりかはまだまし。

生きていれば必ずいいことはあるはずだ。



後日談


再開後はしっかりとクリーンな体になって返って来ていたが

お金も仕事も服もないということだったから

家に招待して当時付き合っていた彼女にご飯を作ってもらい三人で食べたり

いらない洋服をあげたり、アルバイト先を紹介したりと少し面倒を見ていた。


あの時見捨てなければもしかしたら竜先輩はアイスにハマってなかったかもしれないし

僕が当時付き合っていた彼女とばかり遊んでいなくて竜先輩とも遊んでいれば寂しさのあまりアイスに手を出さなかったのかもしれない。


そんな後悔の念を抱えながら数年苛まれていたので再開後、面倒を見ることで払拭出来ていたら…

と思っていたので再会出来て本当に良かった。


そして捕まっていたという最悪のケースではないけれど

それでも更生して返って来れて本当に良かった。


今後も自分を律して生きていって欲しい。


あの時、僕が感じた六本木で唯一オーラを感じた人なのだから。



※所々、フィクションが入っています。



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