第10話 人生を変えた旅ペルーⅠ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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そんな予感がしてならなかった。



けんちゃんのことが大好きな傍ら、

自分が逆らえない波に流されていくような、そんな感覚だった。



そして別れは突然やってきた。



それは、いつもの電話の延長にあった。

今日別れる、なんてお互い思ってもいなかった。



だから正直、どんな風に別れたかよく覚えていない。



私とけんちゃんの中にあった小さなズレが、ぶつかってしまった。



そして、振り向いてみるとお互いの歩いていた道が、

随分離れてもう見えなくっていたのに気ずく。




まほ
けんちゃん…、もう私たちパートナーとしてもう限界やと思う。




私の言葉に、けんちゃんは額を押さえてうつむいていた。

スカイプ越しに、けんちゃんの涙が落ちていくのが見える。




私もベットの上にぼたぼたと涙を落とした。





けんちゃん
俺みたいないい男、もうおらへんで。

あんなに愛してくれる人おらへんかった!って後悔するで〜。




けんちゃんは、冗談交じりにそう言う。

だけどいつもみたいに笑ってはいなかった。



頭にタオルをまいて、よく日に焼けた整った顔。

ずっと見慣れていたけんちゃんの顔が、涙で歪んで画面に消えていった。



これが最後のスカイプだった。



そしてPCを閉じて気づく。

今日はちょうど2年目の記念日の日だった。




けんちゃんの最後の言葉、それは今でも本当だって思う。


けんちゃんは世界でたった一人で、どこにもいなかった。


そして私に、特大の愛を教えてくれたのはけんちゃんだった。




二人でやっていくということ。

思いやるということ。

分け合うこと、許し合うこと、

シリアスよりもユーモアが必要なこと。




2年前の夏、多分きっと、私が生まれるよりずっと前から

すべての偶然の糸が重なって、

けんちゃんと由紀夫と会うことが決まってたんだ。



そしてそれは私の人生でビックバンのように、新しい生き方を見せてくれた。

私の世界に、見たこともない軽やかな風を運んできてくれた。



私を、自分のほんとうの中心へと中心へと、戻してくれた。



静かになった部屋を一人で見つめていた。

半年前けんちゃんは確かにここにいたんだ。もう随分前のことのように感じる。



あの頃、この狭い部屋で安いワインと音楽と、それだけで十分だったこと。

一杯だけゲームやお金がないふたりのデートが公園だったこと。

いつもこの瞬間を楽しませてくれたこと。



けんちゃんが連れて行ってくれた非日常の毎日が愛おしくて懐かしかった。



家族を失ったような、自分の身体が半分ちぎれたような痛み。

痛かった。もう戻れない場所が恋しくてたまらなかった。




だけど、こころの奥はどうしようもなく進みたがっている。

けんちゃんとの返りたい場所は、もう全部過去にしかなかった。

もう戻れなかった。




歩こう。自分の道を。歩くしかないんだ。




けんちゃんとの2年間が終わった。




これで、けんちゃんとの恋愛の話はおしまい。

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