第10話 人生を変えた旅ペルーⅠ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
そう言って紹介してもらったのは随分前で、
本屋で何度探しても、その本にはなかなか出会えなかったのだ。
今日旅本を買うとき訪れた古本屋で、やっと見つけることができた。
実は目当ての旅本よりも、密かに楽しみにしていたものだった。
手に持つと、どこかワクワクする。
読んでいた旅本を置いて、
そのまま「アウト・オン・ア・リム」のページをめくった。
まさか、そこに前兆が隠されているとは知る由もなく。
「 424 」
本の内容は、シャーリー・マクレーンというアメリカの有名な女優さんの自伝だった。
私の生まれた時くらいに出た、少し古い本だ。
私はのめり込むようにその本の世界に入っていった。
内容は、大女優が自分のこころと向き合いながら、
生きる本質を取り戻していく、というものだった。
現実的で合理主義だった当時のアメリカでは
精神世界に踏み込んでいく彼女の生き方に、批判の声も大きかったらしい。
とにかくその時代にとてもインパクト与えた作品のようだった。
一番おもしろかったのが、
彼女がペルーで神秘体験と言われる”不思議な体験”をする場面だ。
彼女はそこから一気に本当の自分へと目覚めていくのだ。
これは本当の話なんだろうか?
そう疑ってしまうほど、その辺の小説よりフィクションのような内容だった。
熱中して読み進めていくと、彼女が自身の誕生日を言う場面があった。
え?このシーンいる?少し違和感がある妙な文章だった。
そして彼女が口にした誕生日は
ー4月24日。
そう、彼女と私は(もちろん双子の姉なっちゃんも)同じ誕生日だったのだ。
【424】という数字は、ふたりの間で、特別でとても大事にしている数字だった。
文章の【424】が浮かび上がる。
胸がドクンと鳴った。
それはよくあるほんの小さな偶然だったのかもしれない。
だけど私にとって、大きな前兆だった。
今まで前兆に従って進んできたときのように、
”サイン”を見つけたような感覚だった。
そしてその瞬間、単純に私の旅の行き先は決まってしまった。
” ペルーだ。”
やっと見つけた!ペルーへ行こう!
ペルーなんて、どこにあるのかさえ曖昧だ。
だけどどの国を見ても感じなかった、確かな感覚があった。
「 早く、早く、旅に出ないと.....!」
またあの強烈な勘がよぎる。
そして場所も首都の名前もよく分からないまま
なっちゃんにお金まで借りて、ペルー行きの航空券を購入した。
そしてまだこの時は、
ペルーが自分にとって人生の変わる場所になるなんて思ってもみなかった。
これは今から始まる”特別な旅”の物語の、ほんの序章だったのだ。
第1章 はまるピース
”ペルーに行く!”
そう決めてチケットを買ったのは、出発のたった1ヶ月前だった。
ー2012年12月27日。
これが出発の日。
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