第10話 人生を変えた旅ペルーⅠ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
彼女はそのあとも、ずっと私の旅を応援してくれるのだ。
そうして、まきさんのおかげでペルーに必要なことは揃っていった。
その次の偶然のピースは、出発1週間ほど前にやってきた。
その時私は、旅費を貯めるため
恵比寿のブリティッシュバーで働いていた。
そのバーはとても面白いお店で、大好きな場所だった。
お客さんは外国人ばかり。
スタッフも、旅好きや海外好きが多い少し変わったお店だ。
その日私がカウンターに立っていると、
お店のドアから物凄い美人が入ってきたのだ。
それは元スタッフのやよいさんという人だった。
彼女の噂は他のスタッフからよく聞いていた。
17歳から何カ国も世界を旅している、旅のスペシャリストだ。
確か雪山を登りに行って、シベリア鉄道で帰ってくる‥そんな話だったはず。
彼女が昨日帰ってきたのだ。
他のスタッフが気を利かせて話をつないでくれる。
荷物は揃えた?よかったら私の荷物全部貸してあげるよ!持って行きなよ。
そうして、旅から帰ったばかりの彼女は
気前よく自分の使っていた荷物を全部貸してくれたのだ。
寝袋や洗濯の道具、リュックやウィンドブレイカーまで、
旅人のやよいさんらしい、的確な道具が揃っている。
全部揃えたら、10万はしたかもしれない。
旅費で精一杯の私が、手に入れられるものではなかった。
一週間前というのに、旅の準備もろくにできていない私にとって
本当に有り難すぎることだった。
そう言って、やよいさんはにっこりと笑う。
私の右腕に、彼女の手作りのミサンガがゆれていた。
私も旅で返していきますね。
旅人はこんなに優しいのだろうか?
旅に出る前に、彼女からとても大切なことを教えてもらった。
そうして、やよいさんのおかげで旅の道具も全て揃ったのだ。
ー出発前夜
ペルーまでの1ヶ月はあっという間にきてしまった。
そして今日寝たら、次の朝は出発だ。
バックパックにやよいさんから借りた荷物を詰める。
ペルーの首都、リマの空港までは
リョニーさんが迎えに来てくれることになった。
1ヶ月前”ペルーに行く!”と決めた時、何も揃っていなかった。
ペルーのことも、旅の準備も、何も分からなかった。
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