第11話 人生を変えた旅ペルーⅡ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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リョニーさん
もしmahoさんがよければ、ですが。
キレイな場所ですよ。


まほ
え!いいんですか?!はい!是非行きたいです!



リョニーさんは嬉しそうに笑っている。



リョニーさん
あなたの家だと思って、ゆっくりしてください。私はちょうど休暇中で時間があります。
よかったらリマも案内しますよ。



その暖かい言葉がとても嬉しかった。



初めて会ったはずのリョニーさんとの間には、

ゆったりとした懐かしい空気が流れていた。



そうしてリョニーさんと過ごす

数日間が始まったのだった。




第五章 リョニーさんから学んだこと




リョニーさんは、ペルーのアーティストだった。



舞台の空間から、絵や書道、彫刻、アートプロジェクト、様々な仕事をしていた。

東京の代官山にも彼の作品があるらしい。



私の部屋にあった絵も、リョニーさんの描いたものだった。



ちょうど長い休暇中だったリョニーさんは、

博物館や海やスーパー、彼のアトリエなど、色んなところを案内してくれた。



どこも面白くワクワクしたけれど、リョニーさんと話す時間が、なによりの楽しみだった。



彼は経済的に成功しているだけでなく、

心やその生き方から「豊かさ」が溢れていた。



こんな人初めてだ。



リョニーさん
私の両親は医者でした。
私も医者になるか悩みましたが “ライフスタイル” で決めました。
だから私は医者になるのをやめました。


まほ
え? “ライフスタイル” ですか?



それはリョニーさんと車に乗っているときの会話だった。



驚いて聞き直してしまう。



医者になることを、ライフスタイルで辞めてしまうなんて聞いたことがない。



リョニーさん
医者も魅力的でした。
でも、いつも同じ場所にいなければいけないでしょ?



リョニーさん
私は、色々な場所に行って、様々な考えの人と会いたかった。

そうゆうライフスタイルで生きたかった。

そうゆう人生にしたかったのです。

だから、アーティストを選びました。




彼のしてくれる話は、シンプルだけどとても重要な話しだった。



その、モノの考え方や視点が

いつも私を大切なところへ戻してくれた。



夜寝る前は必ず、リョニーさんから聞いた話を書き留める。



私は、美術館でも、食卓でも、車の中でも、とにかくリョニーさんの話しに夢中だった。



ある日リョニーさんに、いつからアーティストを始めたのか?と聞いてみた。



リョニーさん
そうですね、七歳の時かな?



という答えが返ってくる。



リョニーさん
七歳から絵を描いていました。



それはイタズラのような、だけれど真面目な言いぐさだった。



ーえっと、そうじゃなくて…

アーティストという仕事で生計を立てたり、

お給料をもらうようになってからはどのくらいなのか…




と、また詳しく聞こうとして、言うのをやめた。

少し恥ずかしくなったからだ。




なぜお金をもらってからが “その肩書き” になるのだろう?




リョニーさんは七歳から絵を描くのが好きで、今も描いている。

ただそれだけだった。

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