ブラック企業体験記

【第一話】~センブツと読んだ会社に入社した~



「センブツ?」


地元岐阜の転職企業フェアで私が手に取った


パンフレットには「先物」と書いてあった。


そう、20歳の私が選んだ会社は商品先物の営業会社。



内定が決まったことを周りの人に話すと、


「ヤクザと同じ業界だよ」


とか、


「お客に刺されるよ」


とか、


「そりゃ、泣く子も黙る業界だね」


など、とんでもないことばかり言われた。



でも、当時の私は岐阜の実家に住んでおり、

この先物の会社に入社すれば家賃のほとんどを


会社が負担してくれ、念願の名古屋で一人暮らしを


実現できるという夢のような世界が待っており、


しかも歩合給制で月に初任給の倍以上稼ぐことも


可能だという面接での人事担当の甘い言葉に完全に


心を奪われていた。


入社式は確か東京赤坂プリンスホテルだった。


私と一緒に入社した新入社員は86人もいた。


入社式が終ると同時に私達は山梨の富士山が見える


研修施設に到着した。


到着して荷物を部屋に片づけるとすぐに大きな部屋に


全員集まり、人事部長のM氏からこれから始まる


3ヶ月の研修スケジュールが説明されることになっていた。



M氏は演壇に立つと静かに周りを見渡し、


いきなり怒鳴り散らした。



「その足を切り落とすぞ!」



と。足を少しだけ崩している新入社員がいたらしい。


ひじを机におく者にも同様に罵声が飛んでいた。



でも、これは今後はじまる悪夢の3ヶ月の


序章に過ぎなかったことは全員知る由もなかった・・・。


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