普段通りの日曜日

カナダのトロントという場所へ留学していた時のお話です。

トロントという場所には、多くのホームレスがいます。日本とは違い、道路沿いに一定の間隔でホームレスが座っているのです。

大通りを歩いていると、5分間隔でホームレスの人を見るといった感じです。

私は、英語を学びにカナダへ留学したのですが、その時教えてもらっていた先生に質問したのです。

「どうして、こんなにホームレスがいるのですか?」

先生は答えました。

「カナダの人はみんな、ホームレスにお金や食べ物を恵むから、それに甘えちゃってるんじゃないかな?でも、私もたまにあげてるわよ」

確かに、普段からそのような人達に小銭や、お菓子、冬の時期には手袋をあげている光景も目にしたことがある。

カナダがどのくらい、景気が悪いのかわからないが、もしかしたら働きたくても働けない人もまじっているのかもしれない。

もしくは、単に働く意思がないだけなのだろうか。


多くのホームレスがいる中、ある日小さな男の子が、お母さんと手をつなぎながらホームレスに近づいていく。

お金をあげるのかな?と思って見ていたら、何かの本をあげていた。


数日後、仕事帰りにそのホームレスがいる場所を通った時、そこに彼はいなかった。


その代わりそこには、路上ライブをしている人がいたのです。

カナダには、路上に多くの大道芸人がいることでも有名で、歌を歌ったり、コスプレしていたり、様々なことで人々を楽しませています。


よく見ると、そこで歌を歌っている人は数日前までホームレスだった彼だったのです。


その人の隣には、見覚えのある本が置いてありました。そうです。あの子があげていた本です。

どうやらあの本は、スコアブックだったのです。


実は彼、昔路上ライブで少し有名になっていたシンガーだったそうです。

あの子の母がそれを知っていて、もう一度頑張って欲しいという願いを込めて、

あの様な行動をとったのです。


そのシンガーは、一人の男の子に人生を変えてもらったのです。

今では、その感謝の気持ちを込めて、路上ライブで得たお金は生活費を除いて、恵まれない子供たちに寄付をしているらしい。


いつか、世界中で活躍してより多くの子供たちを救ってもらいたいですね。


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