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15/2/19

【娼婦の少女がみた青い空】父宛に贈られてきた娼婦の少女の物語・父の想い出②

Image by Olia Gozha



父が仕事でシンガポールへ行った時のこと。

 

ホテルに戻ると、取引先の会社からプレゼントがあった。


それはなんと、一人の少女の娼婦・・・ 


よっぽど、日本人のビジネスマンにはそういうサービスが喜ばれると思われているのだろうか。


そう言えば、ずっと昔、バイトしていた時に、

俺の血をひく子どもがフィリピンのどこかにいるはずだ、

などということを、平気で自慢するように話していたオヤジを想い出した。


まったく不愉快な話だが、日本人のビジネスマンの接待に、こんな形での贈り物が使われているのだろうか。



父は驚き、取引き先に怒りを覚えた。


しかし、無下に帰すわけにもいかず、その少女に尋ねた。



「君はなんでこんなことをしているの?」



「・・・まだ幼い妹や弟を養わなくてはならないんです。」



少女の家は貧しくて、家計を助けるために、彼女は売春をさせられていたのだ。


父は身につまされる想いだった。

父も極貧の中から這い上がった人間だったから。


少年時代、食べる物も住む場所もなく、青果市場で肺炎になりかかっていたところを助けてくれた人がいて、命拾いしたのだ。


その人のおかげで、様々な人にご縁をつないでもらい、父は独学で発明家になった。


父はその娼婦の少女に再び尋ねた。


「なにか、自分の夢はないの?」


すると、少女は恥ずかしそうに言った。


「できるなら・・・美容師になりたい。」


そんな夢があるのに、家族のために娼婦をしなければならない少女が目の前にいる。


世の中というのは、なんという不条理に満ちているのだろう・・・


父は少女に言った。


「それならば、一生懸命勉強しなさい。そしてこんなことはもうやめなさい。これから毎月、このホテルに君宛の小切手を送るから、ここに取りにきなさい。それで学校へ行きなさい。」


父は少女の名前を聴き、家に帰した。


それから、父はホテルにも了解を得て、約束通り、毎月、少女に小切手を送った。


父は、娼婦の少女の足長おじさんになったのだった。


そして、彼女も約束通り、美容師になる学校へ通いはじめた。




父は彼女に自分の連絡先を知らせなかったので、彼女はホテルのマネージャーに、


「いつかまた、ミスタースズキから予約が入ったら、知らせてほしい」


と頼んでいた。




そして、それから2年ほど後のこと。


父は再びそのホテルへビジネスのため泊まることになった。




そして、父が到着したその翌日。


父がフロントに行くと、見違えるように明るくなった少女が嬉しそうに立っていた。


「ミスター・スズキ!」


驚いた父に彼女は言った。


「私のお店に来てください!」


彼女は、リムジンをホテルの前に待たせていた。


きっとまだそんなにはお給料ももらっていないであろう彼女が、リムジンを借りて父を迎えに来ていたのだった。


そのリムジンに乗って、彼女は父を彼女が勤める店に案内してくれた。


小さなサロンではあったが、彼女はそこで美容師として働き始めていたのだ!




彼女は父に語った。


「あの日まで・・・ミスター・スズキに出逢う日まで・・・私は自分を恥じていつもうつむいて歩いていました。 だから、空がこんなに青いって気づかなかった。 でも今は、胸を張って青い空を見上げて生きていけるようになりました。」





彼女が知った空の青さは、どんなものだったのだろう。


自分に誇りを持って生きること。


父は、少年時代、貧民窟のようなところにすら住めなかった。


極貧の中、父を支えたのは、自分への人としての誇りだったという。 




どんな状況にあっても、


人としての誇りさえあれば、立ち上がれる。





自分を誇りに思うこと は、傲慢なことではなく


自分に与えられている命への 最大の感謝 なのだ。





胸を張り、青い空を見上げて生きる。


見上げさえすれば、

いつもそこには 青空がある!


青い空の果てにあるものは、夢。


私たち、すべてのものに

希望の青い空は与えられている☆




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