第13話 ルカとの出会い【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
背の高いルカを見上げながら話す。
南米って、じゆうだーっ!って感じじゃん。日本って窮屈だし。南米の雰囲気大好きなんだよね。
ルカの言う通り、彼を見ていると本当に旅が好きななことが分かる。
旅で身につけたスペイン語で、
路上のおばさんやヒッピーたちと気さくに話しをしていた。
その時の彼はとてもいい顔をしている。
ペルーの空気に、彼のマイペースさや気質がとても合っている気がした。
また私が重ねて質問する。
でも遺跡に興味ないって言ってなかったっけ?
ルカは自分の経歴みたいなことはよく話してくれるのに、
ペルーに来た理由は、何だか誤魔化される感じがあった。
なかなか話してくれないのだ。
そして、ペルーには”なんとなく来てる”というより、
何かを探しているような、ちゃんと目的があるような、そんな印象だった。
私の勘だけれど。
まほちゃん!ほら、明日ここだよ。
この下に集合ね。OK?
結局、質問ははぐらかされたまま私たちはセントロに到着してしまった。
セントロの、噴水のベンチの前を指差しながら彼は言う。
明日から、クスコを出てマチュピチュに出発するのだ。
そしてルカは乱暴な車をうまくさえぎりながら道路を渡っていく。
もうサッサと自分の宿の方に歩いて行っていた。
歩くのが早いルカは、あっという間に細い坂道を上がっていく。
私はあわててさよならを言った。
ルカは後ろも振り返らずに、
背中越しに適当に手をあげるのが見える。
バイバイのつもりなんだろう。
無愛想な、何だか不思議な相棒が出来てしまった。
ルカの背中が坂道に消えるまで、彼の姿をぼーっと眺めていた。
クスコの街が、今までと少し違う風に見える。
つい最近まで私にとってこの街は、不安で寂しくて孤独な街だった。
でも今は新しい冒険に出るような、ワクワクするそんな場所だった。
夜のクスコの街はキラキラと輝いている。
少し高ぶるような気持ちだった。
リョニーさんから描いてもらった地図をもう一度取り出してみる。
その地図は、大切にあのノートの間にはさんであった。
”
何の為に生まれて 何をして生きるのか
答えられないなんて そんなのは嫌だ!
”
表紙に書いたことばが嫌でも目に飛び込んでくる。
これが、私の旅の目的かあ。
まるで他の誰かが随分前に書いたような、不思議な気持ちだった。
ノートと地図を丁寧にカバンにしまって、私も自分の宿へと歩き出した。
空はうっすらとオリオン座が出ている。
明日からは、ついにマチュピチュに出発だった。
ーマチュピチュからがまぁちゃんの転機になるよ!
もうなっちゃんのことばは少し忘れかけていた。
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この物語を書き始めて、もう1年が経ちました。
第1話はグアテマラ、そしてメキシコ、セドナ、と旅しながら、
この第13話は舞台のペルーに戻って書くことができています。
本当にありがとう!
そして本当に素敵な方との出会いがあり、
この物語が、本になることが決まりました。
出版は4月予定です^^
この物語が世界中の”前兆”となるように、
心から願って。
____
※都合により一部名称や設定を変更しています^^
読んで良かったを押してもらえると、とっても嬉しいです^^//!
5年後の私より。
このストーリーは2015年に書籍化となり、
2019年にベストセラーとなったんだよ!
この本を出してから、人生が変わったという人からたくさんメールが届くんだよ。最後まで書くのが本当に怖かったけれど、絶対書いてよかった。
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