【サラサラツルツル脳の旅。第3回】眠れない子たちを救え① 発達障害と脳

 私たちが最近していることといえば、もっぱらサイクリングです。

 先日も、しまなみ海道の「今治市⇔生口島」を往復してきました。



(とても楽しそうです☆)



(おばあちゃんへの手紙。実際に体験したことを絵にする、文章にする)


 でも、ふたりとも重度の発達障害があります。手前の子は文字も言葉もわかりませんし、私と出会ったときは自転車に触ったこともありませんでした。それでもコミュニケーションを取りつつ、自転車で80kmをこぎます。


 なぜ、私たちは障がいの重い子とこういった運動をするのでしょう。

 ちょっと昔の話からすることにします。





     ☆


 「眠れない子たちを眠らせる」という教師時代の私のミッションは、2年間続きました。学校のカリキュラムを徹底したこともありますし、学校のカリキュラムに果たしてふさわしいのか? と思うこともやりました。


 あるとき、学校で一番「エライ人」が私のクラスを見に来ました。私はびっくりしてしまいました。

 エライ人はしわの深い顔をにゅーっと伸ばし、子どもたちのやっていることをゆっくり見回しました。


「足の神経については調べてみたか……?」


 私は休みの日も大学の図書館に通い、知識だけは得ていました。

「はい。調べました」

 すると、エライ人はまた黙り込み、うなずくのでした。目尻が長く弧を描いており、「今後も続けなさい」と言っているのがわかりました。


 ほっとしたものです。


 職業訓練で、箱の折り方を教えたりもしました。眠れない子は、箱の仕上がり方にムラがよく出ました。眠れた日は失敗がないのですが、眠れなかった日は、失敗が多いのです。

 それは本人の問題ではありません。腕が突然浮き上がったり、まばたきが多く視線が上になるというのは、生理現象に何かトラブルがあるのです。そういう状態で箱を折らせても、良い物はできないと判断しました。


 より、効果的なメニューを組まなければ……。


 そんなわけで、いろいろな取り組みをしていました。

 でも、私にはずっと引っかかっていることがありました。

「この子たちがわくわくしたり、楽しいと思うときはどういうときだろう?」


     ☆


 「楽しい」というのは、とてもよいことです。ワクワクしたり、ドキドキしたり。最近テレビで聞かれる「アハ体験」というのもそういうものかもしれません。


(出典:松沢大樹『目で見る脳とこころ』日本放送協会出版2003)

「おもしろいと感じたとき(中略)左半球の前頭前野の先端部分が特に目立つ。おもしろさは高次の感情であることが推測される」


 自閉症は、脳の「前頭前野」と呼ばれる部分に何らかのトラブルがあるのではないかと言われています。

 ただゲラゲラとした笑いではなく、何か知的な活動にもとづいたおもしろさを追求できれば、この子たちの脳も安定してくるのではないか。そう考えていたのです。


みんなの読んで良かった!

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