【脳の旅。第12回】旅行会社にシェアハウスやフリースクールがくっついたものが私の仕事です。

後編: 【脳の旅。第13回】この子たちのシェアハウスが旅行会社である理由。

愛媛県新居浜市、別子銅山頂上の「銅山越」から。


     ☆


 そんなこんなで、私は『発達障がいのある子の発達・自立支援とエコツーリズム』を行う業務をはじめたわけです。


 施設ではありません。

 療育機関でもありません。

 学校でもありません。


 基本は、「旅行会社にシェアハウスがくっついたもの」です。一部、フリースクールや療育機関的なところもあるかもしれません。

 でも、生きていくのは本人たちですから、やっぱり学校ではありません。


 学校等の何が嫌かと言うと、いっぱいありますが、「教師ー生徒」っていうのが嫌なんです。

 彼らがどんなに障がいがあっても、本当に自分たちで生きていくのであれば、自分たちで生きていく経験を積まさなければなりません。


 だから、まずは、親元から少し離れたところに、自分たちだけで生活する家を構えるわけです。自分たちでその家を動かしていく。

 例えるなら、自分で自分の車を操縦してみるものでしょうか。

 親元を離れ、自分で生きていけるかやってみろ、というわけです。


 これは障がいの有無に関係なく、すべての子に必要な体験だと思います。

 のび太君が、映画とかで家を飛び出すとたくましく成長しますよね。そんな体験が、現代っ子にはあんまりないような気がします。障がいのある子なら、周りの人に支援されることに慣れ過ぎていると、今度は逆に自立できない。

 私たちの発想はそこからなので、障がいがあるとか、障がいがある子のための場所とかいうものでは、そもそもないんです。


 どんな子でも、いつかは親元から離れて自分たちで生活していかなければならない。それを十代からやっている子は、障がいの有無関係なく、たくましい。


 とはいえ、子どもを突き放すだけ突き放して、何のサポートもしないのであれば、無責任です。

 障がいのある子たちが自分たちで共同生活できるように、私もご近所に住んで手助けする=自立に向かっていく手助けをする。世話人とか大家さんとかを、もっとクリエイティブにした感じでしょうか。


 朝は早いです。六時には子どもと戯れて運動しています。

 ずぼらな私も、この仕事をはじめて、体の状態がとてもよい。おかげさまで健康になりっぱなしです。


 朝きちんと起きているか確認し、そのあと一緒に運動して、学校に行く子は学校にいって……という感じです。

 病気の関係で学校に行っていない子は、学校の代わりとなるようなプログラムを組みます。フリースクールみたいなものです。


 そして、旅行といいながら、四国のあちこちに連れ出しては、50km以上のサイクリングだとか、10km以上のウォーキングやランニングだとか、登山だとかをこなす。水泳も1km以上は泳いでいます。元教師の性で、寺とか神社とか、遺跡とか、文化的なところに連れ出す癖がありますが。

 すべては夜、きちんと睡眠を取れるようにするためです。


 その上で、将来自分で自転車に乗って仕事に行ったり、買い物に自分たちで行けるようになればいい。もはや、学校以上のことをします。


 そうやって、障がいがあろうがなかろうが、十代のうちから「ああ、自分たちで生きていかねばならないんだな」という意識をつけさせる。これが、あえて私たちが「旅行会社にシェアハウスやフリースクールがくっついたもの」と、ぼんやりした言い方にしている理由です。学校や施設では、ここまで自由にできないですから。



(子どもの作品『自分たちでするお料理』)



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【脳の旅。第13回】この子たちのシェアハウスが旅行会社である理由。

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