小さな手

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腫瘍摘出は延期され、また脳神経内科に移され。
点滴による治療が始まった。


再発してしまった為、内服薬が変更され。
婦人科も腫瘍摘出までは、内服薬で排卵を止める治療法に変更になった。

破裂…

その恐怖がまた続く…

一度は泣き崩れるほどの絶望のきっかけだった腫瘍。

無くなれば、一つ進める様な気分になっていたのに…

「子供が欲しい」と言う希望にも、やっと蓋を閉めれたのに…

そんな心が病んでる状態な私は、繕った自分で生活をしてた。

あまり記憶が無いほどに、とにかくミンナが心配しない様に…

同情されない様に…

と…



そんな心が疲れた状態で婦人科へ行った日の事。

頼んでもいないのに。
言われた言葉。

「今後、妊娠は望めませんね。」

卵巣が今あることで、小さな期待をしていた気持ちを見透かされた気分になった。


あぁ。
またおちていく…


でも、泣いちゃダメだ。
ちゃんと受け止めなきゃ。


今度はちゃんと諦めなきゃ…

しばらくの間、気持ちと葛藤し。

気持ちが固まる様にと、友達に電話をした。
話し始める前から涙が出てきた。

「私。子供は諦めるよ。もう望みもしない!!」

それだけ言って、電話をきった。


翌日、婦人科外来。
腫瘍摘出までの日程を話し合う日。

もう、後悔しない。
スパッと摘出してもらおう。

そんな覚悟で先生の前に座った。

お腹の中がどんな状態なのかを確認する為と、癌検診の為に内診台に座った。

次の瞬間。
どよめきが起こった。

婦人科の主治医が悲鳴に近い声を上げている。


???

なんだろう?


内診台からエコー台に移動され。

不安から、希望に変わった。

排卵を止める薬で月経はこない。
薬の副作用で常に胃はムカムカ。


そう。
気付いて無かった。

私のお腹に小さな命がある事に…

すでに、22w。

もし、もっと早くに気付いてしまったら中絶にされかねない大量の内服薬。

でも、22wだと中絶は不可能。

そこからは慌て主治医同士が色々しらべ、内服薬による子供への負担の心配は、続くモノだけど。

出産許可。

前置胎盤の為、帝王切開を条件に。



もし、年明けの手術の時に再発していなかったら。
あり得ない命。

その命が私のお腹にいる。


1年前と同じ病院で、気分は雲泥の差。


不安と絶望しかなかった1年前。

でも、今は希望と期待。

元気な子供を産もう。

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