南の島の英語が僕を潰し、僕を生かせた話 -迷わせた編- 

前編: 南の島の英語が僕を潰し、僕を活かせた話 -潰した編-

気が付けば国際舞台を目指していました。南の島から始まった僕の冒険はずいぶん遠くを目指す事になります。


大学を卒業。僕はあるきっかけからニューヨークを訪れる事になりました。南の島から始まり、英語なんて一言も話せなかった僕がニューヨークで思いました。世の中は本当に広い。世界は本当に広い。いつかそんな世界で活躍できる一人前になってここにまた訪れたいと。

僕はアジアの大都会上海へ留学します。しかし、やっぱり語学に才能が無いのか中国語が思うように身に付きません。気が付けば維持を張り、中国語ができないまま上海での就職活動に乗り出します。

ひょんな事から京都に本社を持つゲーム会社に入社。初めての職場は想像する事すらできなかった不思議な環境でした。みんなが良く知っているゲームメーカーからオーダーを受けゲームを開発する会社。オーダーを受ける営業マンはアメリカ人、受けたオーダーをプロジェクトとして計画を立てるプロデューサーは韓国人、立ち上がった企画にゲーム要素やストーリーを盛り込むのは日本人、さらにそのゲームのキャラクターなどをデザインするイギリス人に実際の創作やプログラミングを行う中国人。

色んな国の人が同じ事務所で共に働きます。まるで子供の頃の南の島のクラスを思い出します。ただ、仕事である以上そこはプロの職場です。ゲーム会社独特の遊び心と真剣さが交差します。共通語は英語だけど誰もが完璧な英語を話すわけではないけれど一度集まれば笑いが溢れるほどコミュニケーションが楽しい職場でした。

中でも一番驚かされたのは上司にあたる方です。海外からくるお客様の通訳をやっていた頃です。会議は私、上司と後一人が入ります。上司は主にじっと見ているだけでした。相手とのコミュニケーション事態は順調です。お互い英語で質疑応答をくりかえします。しかし、なかなか話が前に進みません。少しずつイライラも目立ちます。そこに上司が一言。

上司
ゆうだいさん、相手さんに聞いてみてもらえますか。「若い人を使って時間をかけてもいいか。」と。

どういう意味か分からないのですが・・・・。そういう風に伝えると。魔法のように会議は纏まりました。上司は英語が得意でありません。しかし何故か何時も英語だけの会議で話をじっと聞いて困ったころに一言、二言で上手く場を纏めてしまいます。不思議な感覚でした。英語が不慣れな上司の一声が商談を成立させ、お客様が聞こうと耳を傾けるのです。

そこ(外国人とのビジネス)には「英語」なんてなんの意味も持たなかった。

それからも度々上司には驚かされました。会議や関係者が集まるフォーラムなど上司の英語の発音も内容も良くわからないけど周りの人はすごく集中して聞いてうなずく。意見がぶつかったり、確信をついたり・・・・。笑ったり。そんな上司へのスカウトも多く、ご機嫌を伺う手紙などを良く破いて捨てていました。

僕は「英語」こそできるかもしれませんが、一言も話せずただ座っているか立っているだけ。専門用語の問題だろうか・・・。イヤ、専門用語だけの問題ではありませんでした。色んな国の人がまじりあう中で上司は何か英語じゃない乗り物で色んな意思を運んでいました。



そんなある日、上司は僕を会議室に呼び真剣な顔でいいました。全く予想しなかったタイミングで不意打ちをくらい。いったいなんの事だろうと見当もつきませんでした。

上司
ゆうだいさんは英語にさえない私が何故、海外の人たちと上手にビジネスができたり、顔が広かったりするのか不思議と思っていますね。
新入社員ゆうだい
(超能力か!)
は、はい!不思議に思っててってお、おるしだいです。
上司
僕は英語が良くわかりません。でも目の前のビジネスマンが何故この上海に来て、何故この会社を訪問したのか、そして何を必要としているのか。それを観察し把握します。
新入社員ゆうだい
(それって話を聞けばわかる事じゃねぇのか)

さ、さようでございますか!!
上司
今、そんなの話せばわかる事だと思いましたね?
新入社員ゆうだい
(超能力かぁ!!)
いや、あの・・・。え・・・。はい。
訪問の前から訪問理由を聞いているのでわかるもんだと思います。
上司
う~ん、そうですねぇ。言葉は人を惑わせるんです。具体例を言いましょう。海外出張と言うものはどんな企業も基本、出張報告が必要です。もし相手が上海に来てメインの目標を達成し、報告書を盛り上げるために名のある我が社を訪問しているとしたらどうでしょう?相手はワザワザそれをあなたに伝えると思いますか?
新入社員ゆうだい
い、いや・・それは。
上司
あなたは語学や話術に頼りすぎています。訪問時間、質問の内容や質、ネットで調べれば分かるような事をあえて我々に聞いてくる時は一度考えてみる所です。あえて言うならばそういう目的(報告書)の人にはできるだけ早く帰ってもらって渡せそうな資料を共有してあげれば喜んで帰ってくれます。すると次は「本気訪問」につながる事もあります。

僕は英語が分からなくても、それがわかるんです。わかった上で相手の痒い所をかいているいるんです。

英語という武器で世界舞台にたとうと思った僕。なんとも軽く投げ飛ばされた感じでした。世界が加盟している国連の一番偉い人だって聞いてみると決して英語の発音は完璧ではない。それからも上海では驚かされる事がたくさんありました。当時働いていた会社の社長に至ってはたった一枚のスライドでプレゼンテーションをした事があります。それだけなのにパーティー会場の100を超える人が釘付けになります。淡々と英語で話しているようで実はそれ以上の魅力や発言力がありました。

英語だけじゃない。英語だけじゃ世界では戦えない。


と意気込みをもって、その後も色んな挑戦をする僕ですが・・・・。
上手く行くのは何時も映画の中。現実はそうそうタンパクではありません。頑張りきるためにもそれなりの「志」が必要。志があれば英語すらいらない。世界中のトップブランドが上海に集まり、アシアの拠点を上海にもちます。そこは様々な国の人達が競い戦う国際事業の戦場、国際舞台。「英語で国際的な仕事がしたい~」って甘かった。英語は戦力ですらなれなかった。20代半ば、僕は描いていたほどの実力も身につかず、花の都上海を後にします。


20代ゆうだい
僕は何故、国際舞台を目指したのだろう。ニューヨークに行ったからだろうか。僕を馬鹿にしたやつらを見返したいのだろうか。

南の島にいる頃が良かった。英語とか分からなくてもみんなで同じことを思ったり、考えたり、ぶつかったり分かち合える事は本当に良かった。

僕は国際事業なんて興味ねぇ。それが何かもわからねぇ。ただかっこつけたかった。出直しだなぁ~。僕が本当にやりたい事ってなんだろうなぁ~。


やっぱり僕の人生に英語は無縁の産物となります。
英語できて何がいいのやら・・・・。

若者に試練はつきものです。成長に苦痛もつきものなのかもしれません。

英語とか関係ないのでしょう。
当時、親はアジアのとある島にいました。
僕はそこに向かう事になります。

そして「やりたい事」への意思が今まで不要にさえ思えた英語で力をつけ、まさかの国際舞台へ僕を再度導きます。


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