プリント配線板に使う銅の箔をめっきで作ってみた

 


高速銅電析は,電解液の濃度,温度を高くして液の撹袢を強くすることにより高電流密度で銅の電析を行うもので,高い生産性を有することから銅箔製造プロセスとして工業的に用いられている.作製した銅箔は,図1に示すように,プリント配線板の導体部として使用されるが,この際,信頼性の問題点から導体部である銅箔が基板から剥離することがあってはならないため,これらの密着強度を物理的に高めることが必要であり,このため銅箔の表面に凹凸を付けるなどしてモルフォロジーの制御を行っている.本研究では,高速銅電析により作製する銅箔の表面モルフォロジーの要因を追求して理論的に制御を行うことを目的として,各電析条件が及ぼす影響について検討し,作製した銅箔の構造解析を行っている.なお,銅の電析はチャンネルフローセルを用いて行っており,電解液は主成分が硫酸銅および硫酸であり,添加剤として塩化物イオンおよびにかわを使用している.また,標準操作電流密度は1A/cm2であり,作製する銅箔の膜厚は35μmとしている.


 各電解液組成および操作条件が銅箔の表面モルフォロジーに及ぼす影響について検討を行ったところ,添加剤である塩化物イオンおよびにかわの影響が最も顕著であり,塩化物イオンは,図2に示すよう凹凸を大きくし,にかわは逆に凹凸を小さくする効果があることがわかった.そこで,これら添加剤に着目して更なる検討を行った.まず,銅箔成長過程における表面観察による検討を行ったところ,電析の際に塩化物イオンは核発生を抑制し,結晶成長を促進させて表面の凹凸を大きくする効果を持つのに対し,にかわは垂直方向の結晶成長を強く抑制して表面の凹凸が大きくなるのを防ぐ効果を持つことがわかった.


 各添加剤濃度が作製する銅箔の結晶配向性に及ぼす影響について検討を行ったところ,塩化物イオンは[110]配向を強めるのに対して,にかわは逆にこれを弱めることがわかり,この傾向は銅箔の凹凸の大きさと一致していた.さらに,銅箔の断面構造観察を行ったところ,塩化物イオンの添加により柱状組織が発達するが,にかわを添加することによりこれが抑制されることもわかった.以上のことから,添加剤濃度のみを変化させる範囲においては,銅箔の表面モルフォロジー,結晶配向性および柱状組織発達に相関性があることが示唆された.



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