【完結】もう恋なんてしないなんて、言わないけどやっている【第8話】
恋に恋して恋焦がれる
ネット上で恋人ができつつも、リアルではそれほどでもなかった僕に転機が訪れた。
数年ぶりに遊びはじめたウェブゲームにて、出会った女性が名古屋を活動拠点としている人だったのである。
仲も良くなっていたこともあり、せっかくなので一度遊ぼうという話になり、名古屋で待ち合わせをすることにした。
出会った彼女は地味目な僕とは違い、どちらかと言えばワイルドでロックな風貌をしていた。
タバコをよく吸うものの、中身は柔らかく話しやすかった。
ゲームについての話をしていたら、実は僕の使っていたキャラクターの絵を描いていた絵師だったということがわかり、不思議な縁をその時から感じ始める。
今までオンラインであっていた人は東京だったり大阪だったりと遠方だったこともあって、あまり接点がなかったものの、この時であった彼女は電車で1時間くらいかければ会いにいける存在だった。
ゲームのオフ会でもよく話すようになり、飲み会なんかでも一緒につるんでいたら異性として意識をしっかりしはじめていた。
直接は言えなかったので、手紙に書いて彼女へ気持ちを伝えた。
その後、交際を2年くらいしたものの、今は恋仲を解消している。
僕は夢に向かって関東に出てきてしまったので疎遠になってはいるものの、思い出に残る大切な人だ。
オンラインの恋人達の方が長く続いている人もあるが、オフラインで付き合った最後の子の2年がやはり充実した思い出として残っている。
自分の都合で振り回してきてしまっているため、恋愛ごとには遠慮しがちになっていた。
しかし、就職も決まり、新しい人生が踏み出せてきたので新しい恋をするのも悪くないのかなと思い始めている。
失恋したり、こっぴどく嫌われたりしながらも、胸の奥に寂しさが芽生えると恋をしたくなるのだ。
……終わり
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