普通のサラリーマンが、水商売のオーナーになってみた~第一夜~

ある夏休みの日。


友人も恋人も居ないまま気づいたら30歳にさしかかろうとしていた。

そんな僕は、珍しく10代の頃の友人に、6年ぶりに呼ばれて一緒にゲームをしていた。

きっかけは、初めてスマホを買ったら登録されたLINEの会話からだった。


友人
久しぶりだな、俺引っ越したんだよ~
せっかくだし、家に遊びに来いよ!
あ、ああ、そうだね!
引越しおめでとう、今度近いうちに、遊びに行くね。
友人
たしか、お前の家の近くに引っ越したと思うんだよな~、今電話するわ!


そこまで近くは無かったのだが、友人が車で我が家に来てくれて、

半ば強引に、遊びに行くことになった。


数時間後…


ピコッピコピコッ!


ぐぬぬ~全然必殺技が当たらない!



無心になってゲームをしながらも、自分が勝てない事は解っていた。

ゲームをやるのも、友人とこういった時間を過ごすのも凄く久しぶりだったので

色んな事を振り返っていた。


そう、僕の中でずっと答えを出せずにいた問題があったのだ。

鬱蒼(うっそう)とした夏の暑さが、僕の頭を狂わせる。


あっという間にやられて、ゲーム画面の女キャラが恨めしそうに声を掛けてくる


某・女キャラ
ねえ~そろそろGame Overにする?Continue?




単純にどちらかを選べばいい。

でもコントローラーを握った手が汗でびっしょり濡れて、

不思議と選択が出来なかった。


何故か、ぼんやりと今までの人生を振り返っていた。


いやいや、俺は「Game over」=「死ぬこと」は選択してこなかった。


けどさ?


「その先の人生」=「To Be Continue」は、全然考えてなかった。


なんか、試合に負けたついでに、TV画面のキャラに心の中で弱音を吐いていた。


蝉の鳴き声を聞きながらゲームをしていたのだが、時刻は夕暮れを向かえ、

蟋蟀(コオロギ)が今度は綺麗な鳴き声を発していた。





ソファにもたれ掛かっていると

汗が床に垂れる瞬間、今度は頭にスッとノイズが入ってきた。


知らない人
お前の人生、振り返ってみると空っぽだよな?
(ああ、僕の20代は空っぽさ、何言い返す事はない…)


これから先、こんな「生きるだけ」そんな生活をまだ続けないといけないのだろうか。

少しうんざりし、次に頭痛や吐き気が襲ってきた。


ゲームをする気分はとうに失せていた。


わり…ちょっと煙草吸ってくるわ



突然よぎったおかしな考えのせいで、ゲームを中断した。

友人は不安げな顔をしながら、一緒に煙を吸いながら長い時間が過ぎた。


ぼんやりと脳が動き始め、喜んでいるようだったが、

対照的に肺は咳を吐き出して不調を悲しんでいた。


本当に気持ち悪い、これも夏の暑さのせいだろう。


いつの間にか、ソファにもたれかかって、回想に拍車がかかる、走馬灯ってこんな感じなのだろうか


あああー、頭痛ったあぁ


たまにはこんな日があってもいいのかもしれないなぁ。



なんとなく、グルグル回るメリーゴーランドのようにグルグル嫌な事を思い出していた。


若くして就職に失敗し、欝で退職まで追い込まれた日々

復職するまでに、3年の時が過ぎ、社会復帰してから

また同じ3年が過ぎようとしている事に気づいた。


「桃栗三年柿八年」


気づけば、桃と栗なんかにとっくに成長は追い越されている気分になる。


僕は柿にもなれないだろうなぁ。

時が過ぎるのはなんて早く残酷なんだろう。


毎日、同じ事ばっかりだ。繰り返す日々を思い出しても単調でつまらない。

朝起きて、コーヒー飲んで、タバコ吸って、トイレにいって、満員電車に揺られて帰って。

僕が過ごした日常は、何か価値があったのだろうか?


僕は、奴隷なのだろうか?


奴隷なら日々何かやることがあって目標があるのだろうな。

ただ惰性で生きている、窓際のダメなサラリーマン。それが僕の今の肩書きだ。


うまく人間関係を築いてこれなかった、名前を知らない、顔が解る程度の知人が僅かばかり。


会社の人間関係だしと言えば、聞こえはいいかもしれない、しかし外に出ても結局一緒だった。

人が怖かった、追い詰められたり怒られる位ならば…と思い


自然と色んな人と距離を置いていたんだ。


それが例え、昔の友人であれ、会社の仲間であれ、両親であれ、すべてが怖かった。

今日、こうやって友人と遊んでいる時間が奇跡のようなモノだった。


大きく溜め息をついて、また天井に、心の独り言をぶつける。


(なんか一人で生きるのも飽きてきたのかなぁ…)


天井は、無表情だ、しいて言うならクーラーが気持ちいい。


たまに、思うんだ、このままひっそり孤独に死ねたら幸せなんじゃないかってさ。


うっかり声に出したら、今度は友人が物凄く心配そうに顔を覗き込んできた。


もうなんか隠し事は出来なかった、今までの生き方、人間関係や、今の会社が苦手である事を、

友人に打ち明けた。


2時間位は話しただろうか、いやただの愚痴だったのかもしれないが…


すると、友人から意外な答えが返ってきた


友人
なんかさ、二人で一緒に面白い事やろうよ!
具体的には何も浮かばないけど、水商売とかさ!


その時間はとても長く感じた、でも実際に返事を出したのは2秒程度だったと思う。


カーテンが揺れ、夜風が少し身体に触れた時、僕の周りの空気が一変した。


窓から見える夏の外の景色は、見た事も無いような綺麗な緑に見え眩しく輝いた。



解った、その話本気で引き受けるから覚悟しろよ!
友人
ああ、絶対後悔させない!
面白い未来が待ってるはず!



笑顔のまま、変なやる気に溢れた2人、

僕等の、長い3ヶ月が始まったのだった。


長いエピソードになってごめんなさい!

ちなみに、私自身、水商売のお店に行ったり、仕事をした経験もなく、今でも女性と話すのは苦手です(苦笑)

続きます


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