助産師である私の素晴らしき大難産 ①

次話: 助産師である私の素晴らしき大難産 ②

私の職業は助産師です。上の娘は職場で出産しました。その体験談をつづったブログ記事を、消してしまうにはとても惜しいのでここに残しておきます。ちなみに予定日から8日も遅れての出産でした。





さあついに陣痛きたよ!



*「みのみ」とは娘の胎児ネームです。


1時過ぎ  ・・・  陣痛アプリを見ていると間隔が2,3分。実母に陣痛きたかも、と連絡。間隔が短いのが気になって、ひとまず病院へ連絡する。ただ痛みの感じはまだまだ余裕がある。電話で助産師さんからももう少し様子を見るよう言われて冷静になる。落ち着いてなんとか自分で内診してみたら、展退もよさげだし、赤ちゃんの頭も降りてきてる感じだけど、なんと子宮口に指が届かない・・・これはまだまだだなと思い、足湯する。


2時くらい  ・・・  実母へ焦らなくていいと連絡。横になったりトイレに行ったりで陣痛を逃す。


3時くらい  ・・・  痛いけどまだ余裕があるので、半身浴。お湯に入ってると間隔が伸びるけど、楽なのでなるべく力を抜いてリラックス。おにぎり作ったり、三陰交のお灸をしたいが、痛いときは身体を動かさないと耐えられずそこまでの余裕はなかった。


 4時すぎ  ・・・  実母到着。実父はコーヒー一杯飲んでまだまだそうだな、と帰っていった。母におにぎりを作ってもらうも、吐き気があって食べられない。洗面所で夕飯を全部吐く。その後母に散歩しようと言われ、近所の公園まで散歩。痛みがくると立ち止まらないとだめだけどまだまだ動ける。

5~6時  ・・・  さすがに疲れてきて、ソファで横になると間隔が延びる。その合間にウトウト眠る。だんだんまた痛みが強くなり、立っているほうが楽に。トイレに何度も行く。小も大も細切れに何度も出る。


7時くらい  ・・・  痛みがくると、「あー」と声が出るくらいになってきた。立っていると楽。腰を回しながら痛みを逃す。おしりにくる感じはまだない。「日勤帯になるまで頑張る」と目標を決める。


8時半  ・・・  毎回痛むたびに声が出てしまう。間隔も2,3分。ついに病院に連絡し入院。           入院時の内診所見はなんと、子宮口1㎝!!目の前が真っ暗に・・・ただ展退はいいし赤ちゃんはSt+1(ステーション:赤ちゃんの下降度)まで降りてきてると。展退と降りの良さに期待し、立って陣痛を逃す。B群溶連菌の点滴をする。横たわりモニター。横になると少し陣痛が遠のく。いろんなスタッフさんが入れ替わり立ち代わり励ましにきてくれる。


10時くらい  ・・・  NSTのハリを見ても有効陣痛がきている感じがしない。痛いわりに陣痛計の山は盛り上がっていない・・・自分でモニターを直しながら耐える。エネルギー補給をしたいが、喉が気持ち悪くて飲み物もあまり飲めない。モニターを外したあと病棟内を歩きに行く。 痛むたびに声が出てしまう。1cmで声出してたら疲れてしまうのに我慢できない。


11時すぎ  ・・・  再度モニターをつけ、内診してもらうも、子宮口3cm・・・またしてもガックリする。どうも回旋が悪いと。(赤ちゃんが骨盤内でうまく回っていない)つらい。痛い。助産師さんから、エネルギー補給のための点滴をすすめられる。回旋を良くするために体操をしたいが痛すぎてできない。


12時くらい  ・・・  気持ち悪くてお茶をちょびちょびしか飲めない。脱水予防の点滴をお願いする。昼食は夫に食べてもらう。母と夫と交代で食事に行ってもらう。


13時くらい  ・・・  完全に微弱陣痛。痛いのに、痛くて声が出てしまうのに、自分でも全然進んでる感じがしない。赤ちゃんが降りてくればおしりに下がってくるのを感じるはずなのにそれが全然ない。助産師さんに勧められ、促進剤を開始してもらう。先生がたまに様子を見に来て、「無痛にしたかったらいつでも言ってよ」と言われるが、もう少し頑張りますと返事。


14~15時すぎ  ・・・  促進剤は30分に1回量を上げていくが、30分がすごく長く感じる。アクティブチェアに座り間欠時はウトウト。助産師さんが忙しいのにつきっきりで腰をさすってくれてとてもありがたい。分娩台に横になり休むも、何も食べてないのに水分をしこたま吐く。お姉さんのように優しくて慕っている看護師さんにゲロをかけてしまう。3時ごろまた内診するが、子宮口4cmと・・・もう目の前が真っ暗になる。促進剤使っても進んでる感じが自分で全然しないのに痛みはひどく、声を出したり、夫にしがみついて痛みの最中身体をよじって動いてしまうのを我慢できない。「もうどうしたらいいかわからない!」と泣き言を言う。疲労と緊張が強いため、助産師さんに無痛を薦められ、了承する。先生が飛んできて無痛のカテーテルを入れてもらう。


16時~  ・・・  無痛の薬が入った後、ウソみたいに痛みがなくなる。陣痛がきても生理痛より痛くない。無痛ってこんなに楽なんだ・・・無痛後は動くことができないので、分娩台で横になり眠る。ずっとつききりで腰をさすりまくってくれた母と夫も部屋で休んでもらう。


17時~19時  ・・・  無痛がよく効き、ずっと眠る。波が来ても生理痛くらい。促進剤の量が上がり、たまに助産師さんが内診する。8-9cmまで開いてきたと。日中ずっとついててくれてた助産師さんが、「気になるから残ってたけど帰るね」と挨拶にきてくれる。勤務終わってるのに申し訳ない。


19時  ・・・  ついに子宮口全開するが、いきみ感は全然こない。少し薬が切れてきて、試しにいきんでみる。自分では腹筋まで全部使って上手にいきんでるつもりだが進んでこないと。段々痛みがひどくなり、逃せないのでいきむが進まない。このままだと「無痛で最後いきみがかからず吸引コース」が頭をぐるぐるして泣きそうになる。何度かひどい痛みの波がきて、耐えきれず薬を追加してもらう。「こんなに難産だと思わなかった!!これじゃ吸引じゃないと産まれない!!どうしよう!」と叫びながら号泣。助産師さんに慰められながらいきむも進まない。ついに自分から吸引してほしいとお願いする。体力がもう持たない。痛すぎて耐えられない。先生が来て、「出口部が狭いな・・・あと少しなんだけど・・・お手伝いするか?」と聞かれ、「もう出してあげたい」と。分娩体位へ。涙が止まらない私を、助産師さんが「もう赤ちゃんに会えるのにお母さんが泣いてたらダメでしょ!」と励ましてくれる。


20時05分  ・・・  会陰切開、吸引、お腹も少し押され、もう会えると泣きながらいきむ


20時06分  ・・・  みのみ誕生。ドゥルン!!って出てきた。涙が止まらず号泣。胸の上で抱きとめて、私の第一声「おもい~」夫がへその緒を切らせてもらう。みのみインファントウォーマーへ。


20時09分  ・・・  胎盤娩出。その後大量の弛緩出血。先生が点滴の指示を出しながらなにか処置をしているのを、疲れすぎてボーっと聞く。どんどん追加される点滴を見ながら、「出血ヤバいな・・・」と冷静に思う。 すぐ隣のインファントウォーマーにいるみのみを見る余裕もない。 天井のライトを眺めていたら段々視界が暗くなってきて、「あー出血で血圧ヤバいな」と思う。突然気持ち悪くてガーグルベースン一杯何かを吐く。案の定看護師さんが血圧測って「上が80で下が・・・」って言ってる。点滴のおかげかしばらくすると視界も普通に。 結局胎盤が出た後1.6L出血しました。産後2時間までのトータルにすると1.8L。安静のためにバルーン(シッコの管)を入れられる。無痛で良かった・・・痛くなかった。 通常産後2時間で帰室するところを、3時間安静にしていました。 1時間たってご飯食べて、ようやくみのみを初抱っこ。そして乳をやったら、ものすごく上手に吸いました。分娩台の上で4回くらい乳やり。 3時間目には自分でトコちゃんベルト巻き、車いすで帰室。



分娩所要時間19時間9分、無痛、吸引分娩、弛緩出血、会陰裂傷Ⅲ度の素晴らしい大難産でした。



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