「良い」「悪い」からもう卒業しよう

私の大切な友人へ



私は2児の母親です。結婚してすぐにでも子供が欲しかったのですが、長女を授かるまで、結婚してから1年半かかったので、職業が助産師で人の妊娠・出産を間近に見ていたこともあり、色んな夢を膨らませていました。


妊娠したら安産のためにこんなことしよう、あんなことしよう。出産はこんなふうがいいな、あんなふうがいいな。


しかし実際に妊娠すると、職場への遠慮だったり、仕事でぐったり疲れ果ててしまったりで、今まで夢見ていたことほとんどができませんでした。

たとえば、お腹の赤ちゃんのために、有機野菜やオーガニックのものを食べよう、添加物をなるべく避けて、毎日散歩して運動も欠かさずに。お灸や半身浴をして身体を労わろう。ラズベリーリーフティーを飲もう、などなど…その中でできたこともあったけれど、できないことがほとんどでした。


仕事で疲れ果てて、食べるものは冷凍食品やインスタント。外食してしまう時もありました。身体が疲れているのでチョコレートもたくさん食べたし、食欲のない時はジュースもたくさん飲んだ。

夫の好き嫌いがあるので、オーガニックで有機野菜…なんて言ってられず、市販のモトを使った食事も多かった。

夫と夜の散歩に出かけることもたまにあったけれど、毎日散歩するなんてとてもできない。


それでも我が長女は、たくましく生まれてきてくれました。出産の顛末は他のストーリーに記したとおり。


そしてなんと長女が8か月の時に、次女が私のお腹にやってきてくれました。まだ育休中に次の子を妊娠したわけです。長女が10か月の時に仕事に復帰し、5か月だけ働いてまた次女の産休に入りました。

仕事での疲れ具合は半端ではありませんでした。忙しい職場なのに、「やっと育休が終わって戻ってきたと思ったら妊娠しててまた気つかわないといけない邪魔者が戻ってきた。」私はそんなふうに職場の人に思われていると思い込み、(実際「白い目で見られるね」と言われたのでそう思っていました)周りが気遣ってくれる以上に気を使わないといけないと張りつめて働いていたせいで、次女の妊娠経過はそんなにトラブルもなかったわりに身体が疲れて疲れて仕方ありませんでした。

なので長女を保育園から連れて帰ってくると、疲れ果てて何もできず、出来合いのベビーフードを適当に食べさせ、お風呂に入れる気力もないので夫が帰ってくるまで長女と二人でボーっとテレビを見ているだけの日がたくさんありました。仕事が休みの日でも長女を保育園に預け、日中ソファでゴロゴロして延々とスマホでゲームをしたり当てもなくネットを見たりしました。


そんなわけで、次女の妊娠期間はオーガニックのオの字もないまま過ぎましたが、次女はこれまたたくましく生まれてきてくれました。そんな次女の出産の話はまた別の機会に。


理想に掲げていたことを実行できなかった私は「悪い母親」でしょうか?

子供のことを考えて添加物たっぷりの食べ物をやめることもできないなんて、ダメな母親?

いやいや、妊娠中に働くのはほんとに大変なことなんだからできなくても仕方ないよ?

上の子がまだ母親が必要な大事な時期なのにもう次の子を妊娠して、自己責任でしょ?

いやいや、私が妊娠してたときはもっとダラダラしてたよ?


いいえ、そのどれも違います。

正解は、「そんなもん、知らん!!」


この世での「母親」の役割は、とにかく、どんな方法でもいいから、赤ちゃんをこの世に誕生させること。ただそれだけ。と言ったら信じますか?

赤ちゃんは自分が生まれる日も、時間も、場所も、すべて決めてきている。

だから早産だって、自然分娩だって、帝王切開だって、車中分娩だって、なんだっていい、ただ「この世に赤ちゃんを誕生させること」。そして「父親」の役割は赤ちゃんの種を「母親」の胎内に埋めること。


いやいやいや、じゃあ誰が育てるんだ?

赤ちゃんを育てるという仕事は「大人」の仕事。ここを混同すると、自分で自分を責める人が出てくるようになるのです。ただ、これは長くなるのでまた別の機会に。


だから、長女と次女をこの世に誕生させた私は、「母」としての役割はちゃんと果たしたわけです。


子供を育てるのは、周りにいる「大人」の仕事。それはその子を産んだ母親かもしれない、父親かもしれない、施設の職員さんかもしれない、保育士さんかもしれない、祖母かもしれない、祖父かもしれない、その子を引き取った養父母かもしれない、継母かもしれない、学校の先生かもしれない。



子供を育てるのは「母親だけ」の仕事ではないのです。




だからもう、理想を掲げて「母として」とか、「いいお母さんじゃなきゃ」とか育児の中で罪悪感を持つ必要なんて全然ないわけです。





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