元洋服屋の店長だった私が思う、今の私が店長だったら新人をこう育てるマニュアル

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●歓迎の気持ちを込めて挨拶する

例えば、他のお客様の接客中だったり、新しい商品を並べている途中だったり、ディスプレイを着替えさせていたり、本社の営業と電話中だったり・・・


どんなタイミングだったとしても、お客様が入店されたら、

目を見て、微笑みながら、

「いらっしゃいませ」 と一言、歓迎の気持ちを込めて挨拶しましょう。


間違っても、よそ見しながらの裏声で「ぃっしゃいませぇ~~~。」とは言いません(笑)


目を見て、微笑みながら 「いらっしゃいませ」 の一言に込められているのは、

どうぞお好きなようにご覧ください。

余計な口出しは致しませんが、御用の際には心を込めてご対応させていただきます。

という気持ち。


第一印象が、買いそうな人も、買わなそうな人も、良い人そうでも、怖そうな人でも、入店してくださるお客様は、気に入ったものは何でも買えるリッチで幸せなVIP として対応。


自分が、そういうリッチで幸せなVIPだったら、どんな風に迎え入れて欲しいか?

を想像しながら「いらっしゃいませ」と微笑みかけます。


そして、商品をキレイに並べたり、売れ筋のアイテムをたくさん揃えたり、本社に業務連絡したりするような、どんな仕事よりも、店頭で一番大切なのは、

今、お店に足を運んでくださっているお客様 ということを忘れずに。


本社の人との電話なんか、「お客様なので」と、すぐに切っちゃいます。電話の相手が社長でも、もちろん切っちゃいましょう。

お店は、お客様に実際に商品を見ていただき、

自社製品の魅力を感じていただき、

気に入ったものがあればお買い上げいただく為にあります。


そして販売員は、それらを一番素敵に体験していただくサポートのために、お店に居るのです!


どんな風にそれを体験すると、一番 「素敵」 と感じるかは、お客様それぞれの感性。


最初から最後まで放っておいて欲しい人。

店員と友達のように話したい人。

お店の一押しや売れ筋商品の情報を聞いて選びたい人。

なるべく買い物に時間をかけたくない人。

などなど、本当に人それぞれ。


それを入店時の一瞬で見抜くことはできません。


ですが、

どうぞお好きなようにご覧ください。

余計な口出しは致しませんが、御用の際には心を込めてご対応させていただきます。

という気持ちを込めた 「いらっしゃいませ」 は、

どんなタイプのお客様も大歓迎! 

素敵な買い物の時間になるように、サポートさせていただきます!

という誠意を込めた挨拶。


ほぼ全タイプのお客様にとって心地よく、安心して、商品を見始めることができる第一声です。




●むやみに話しかけない

お客様が入店されて、素敵な「いらっしゃいませ」の挨拶をしたら、しばらくは、死角になるような斜め後ろから、そっと見守り、むやみに話しかけません。


何を手に取っているか?どんな商品を気にかけているか?

だけを、そっと観察しながら。


じーっと動かずに見ているとプレッシャーになるので(笑)、ちょっと商品を触って、ズレやしわを直してみたり、と、何かしら動きつつ、お客様の動きに合わせて、こちらも死角になる位置に自然と動いて行きましょう。


お客様が、キョロキョロっとしたりして、少しでも店員を求めている様子があれば、もちろんすぐに駆けつけますが、基本的には、ゆっくり自由に見ていただき、観察タイム。


お客様が手に取っている商品は、「可愛い!素敵!」 と思って触っている場合もあれば、


「何?この柄!こんなの着る人いるのかしら~?」

「すごい高そうな素材~。わ!実際に超高いし!!」


なんていう驚きの気持ちで、触っていることも多いので、それを、慌てて


「それ、可愛いですよね!!ご試着いかがですか?」

と、いきなり押しても、かえって気分を害してしまうかも。

しかも、販売員本人も、本当は、たいして可愛いと思っていない商品なのに、お客様が手に取っているから、とりあえず売りたい一心で「可愛いですよね!」を連呼しているとしたら最悪・・・。


もちろんお客様は、

「死に筋を売りつけたいのでは?無理やり買わされるのではないか?」

と警戒。


もしくは、

「この店員さんとは趣味が合わないし、なんか信用できない感じだわ。」

と、去って行きます・・・。


まずは、

お客様が触っている商品 = 好きか嫌いかは分からないけれど、興味を持ったことは確か。

ということを観察しておきます。


かと言って、観察するだけして、最後まで声をかけないまま去られてしまうのも、販売員がお店に居る意味が無い(苦笑)。何かしらの声はかけて、お客様のニーズを探りたいところ。


ですが、新人で慣れないうちは、最初の声かけが思いのほか難しいのです。

不自然に、唐突に、話しかけてしまい、話しかけたからには、何か話し続けないと!

と、ギクシャクとしたまま、お客様が聞きたくもないことを話し続け、ウザがられて逃げられる。

という悲しい現実・・・。


こんな新人にとって、最もチャンスなのは、自分が実際に着ている服や、色違いや素材違いで持っている商品を、お客様が見ている時!



●お気に入りの商品で成功体験を

自分が実際に着ている服や、色違いや素材違いで持っている商品については、

「そちらは、今私が着てるものと同じなんですよ。意外とこういう靴とも合わせやすいです。」

「私も同じものを持っています。見た目よりフィットしたラインでかっこよく着れるんですよ。」

など、自分の着てみた感想を、実感を持って語れるので、自然に話しやすいし、そのまま話が繋がりやすい。


そのまま無理に繋げる必要は無いけれど、「いらっしゃいませ」以外の一言を、自然に交わせると、違うのです。

その瞬間のお客様の表情など、ほんのちょっとした反応から、かなりお客様のタイプやニーズがつかめます。


もっと話したい人なのか?

放っておいてほしい人なのか?

こういう服が好きなのか?苦手なのか?

本当は、何を見に来たのか?


これは、こちら側の都合だけではありません。


お客様の方でも、目の前で、実際に人が着ているとイメージが付きやすいし、

普段着ている感想を聞けるのは、貴重な情報。

お店の人も自分で着る位なら、イケてる服なのかな? と、好印象も持ちやすい。


実は入店前に、その販売員の姿が目に入り、「素敵なの着てるな。」なんて思って入って来てることも多いのです。


販売員は動くディスプレイ☆

まずは、自分が好きな商品を着て、その良さを、自分の言葉や着こなしで語れるようになりましょう。

上手に、滑らかにトークする必要はありません。

実際に自分が着ての感想を言ったり、見せたりしているので、嘘がありません。

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