元洋服屋の店長だった私が思う、今の私が店長だったら新人をこう育てるマニュアル

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「うわべだけで適当なことを言って、無理に買わせようとしている人」

だと警戒されてしまう確率が、限りなくゼロに近くなります。


それを糸口に、お客様と話すこと、お買い上げいただくこと、に慣れていきます。


何カ月経っても同じ商品しか売れない、というのは問題ですが、

最初のうちは、まずお気に入りの商品を販売することで成功体験を!



●暇な時間に試着しまくる

お気に入りの服を着て、その良さを実感する。それを接客に活かす。というのが、最初は大切とは言うものの、そんなに最初から何着も買える訳ではありません。

「店長から、売上のために自社商品をもっと買えと、プレッシャーをかけられた。」

なんて不満に思って、辞めたくなってしまうかもしれません・・・。


では、自分で購入して仕事着として着ている服以外の商品は、どうするのか?

はい、暇な時間に試着しまくります!


ハンガーにかかっている商品を、ただ眺めただけで接客しようとしても、所詮は、薄っぺらい感想を並べるだけに・・・。

キレイな柄ですよね~。

シャープな印象で、かっこいいジャケットですよね~。

などと、見たまんま感想を言うだけなら、販売員は要りません。


しかも、それがお客様の感覚とズレた感想だったなら、

誰もアナタの感想なんか聞いてないし!

ってか、これってシャープな感じなの!?

と、心の中で突っ込まれ、不信感で終わるでしょう・・・。


見ただけでは分からない、

それらの着心地、人が着た時のラインの出方、どんな体型の人により似合うのか?

などの特徴を掴むため、お店が暇な時間帯は、販売員同士で試着しまくりましょう。


数名いるスタッフ全員が、同じ体型ということは、ほぼ有り得ないでしょうから、みんなで、交代して試着してみることで、各商品の良さを発見します。


着てみると意外と・・・ということが、もの凄くたくさんあります!


特に、太いラインで、ゆったりめのパンツに見えるけど、意外とヒップはパツンパツンになっちゃう!

みたいな商品などは、事前に把握しておくこと必須です。


「これなら入るだろう。」と、安心して試着室に入ったお客様が、

思いがけずパツンパツンになってしまい、恥ずかしくて、そのまま急いで脱いで去って行く・・・。

という展開、有ります!


納品された商品を、ハンガーにかけて、ただ眺めるだけなのと、実際に着てみるのとは、大違い!

洋服は着るためにあるもの。

じゃ、実際に着てみると、どうなのか?

その知識を、必要なお客様に、必要なタイミングで提供できるように、

自分が着てみた感じ、他のスタッフが着ている姿を見た感じ、を、しっかりと体感しておきます。


そうして、パツンパツン事件を未然に防ぐのです!(いや、その為だけでは無いけれど、笑)

とりあえず、1本目にパツンパツンになってしまうと、お客様はほぼ100%、そそくさと帰ってしまいます。

少なくとも、お客様が最初に目を付けたそのパンツを、そのまま履いて、そのままショックを受けてしまわれる前に、確実に似合うものを紹介して、安全パイから試着の流れに持って行きたい訳です。


など試着に関しては、またおいおい語るとして、そういうことが出来るようになる為にも、まずは、

実際に着てみて、商品知識を増やす。ということが大切なのです。


加えて、「暇な時間帯に試着する」というのは、

ボーッと閑古鳥オーラ 

を出すよりも、お店に活気が出て、忙しそうに見えて(いわゆるサクラ効果?)、お客様にとっては、

「すぐに話しかけられなくて済みそう」と、気軽に入店しやすくなる、というメリットもあります♪



●買わない理由は予算オーバーだからではない

なんとか、最初の声かけをクリアして、接客スタートし始めると、お客様の口から、

「これはちょっと予算オーバーだなぁ・・・。」なんて、セリフが出るのもよくあること。


が、ここで声を大にして言いたいのが、お客様の言う予算を真に受けない!ということ。


たいていのお客様は、「今日はパンツを買いたいな~。1万円台前半くらいがいいなぁ~。」

という感じの漠然としたイメージを持って、ブラブラしているもの。


その言葉を真に受けて、「じゃ、このお客様は、今日は1万ちょっとしかお金を持っていないし、それくらいのパンツしか買うつもりは無いのだな。」なんて、変な枠を作らないこと。


あらかじめ 「予算はいくら以内」と決めていても、その予算の根拠は曖昧なのです

基本的に、「買い過ぎてはいけない。」と、自分を律するための目安として、決めているだけなので、

それを超えたら生活できなくなる訳ではありません。


また、本当はもっと少ない予算で考えていたとしても、見栄を張って高い予算を言う、ということもあります。


つまり、お客様が口にする予算は、ただの数字!


本当に欲しいもの、似合うもの、それを手に入れたら、なりたい自分になれる!

と感じたものには、お客様は 多少の無理(分割払い)をしてでも お金を払います。

気に入ったものがあれば、予算より 高くても安くても 買うので、

お客様が気に入りそうなもの、似合いそうなものは、価格を気にせずどんどん紹介してOK。


基本的に、お客様が買わない理由は、お金が無いから、ではなく、

それを買っても「なりたい自分になれる」と思えなかったからです


つまり、


この服を買ったら、どんな風に素敵になれるのか?

を、具体的にイメージさせてあげることが出来なかったからなのです・・・。



●お客様が言う「欲しいアイテム」を真に受けない

お客様が言う予算を真に受けない。のと同じく、「パンツを探している」と先に言われたとしても、そのまま「パンツ」の話だけをする必要はありません。


お客様が入店して、無事にお話しをするところまで行き、私達に「パンツが欲しい」と口に出してくださるまでには、


自宅のクローゼットで、「似合う服が無い」と悩んでいたり、

職場の憧れの先輩に近づきたいと思っていたり、

転職して、新しい職場に合う服が無くて困っていたり、

彼好みの女性になりたいと思っていたり、

最近太っちゃって・・・と悩んでいたり、


十人十色、さまざまな想いがあります。


お客様なりに考えて、その悩みを解決するには、とりあえず「パンツを買い足せば良いのかもしれない」という結論になり、買い物に来たけれど、


「パンツ1本だけ買えばオールOK」と、確信できている訳ではありません。


プロのスタイリストでもない限り、そんな確信を持っている人は居ないでしょう。

それを、ただ単に、最初に言われた「パンツ」というアイテムだけにこだわって、

今流行りのパンツ、売れ筋のパンツ、新入荷したパンツなどを、せっせと勧めているだけでは、

お客様の「なりたい自分」像のイメージをつかみ損ねます。


お客様は、「格好いいパンツ」が欲しいのではなく、

「格好いい自分を演出してくれるパンツか何か」

「理想の自分にふさわしいパンツか何か」 が欲しいのです。


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