元洋服屋の店長だった私が思う、今の私が店長だったら新人をこう育てるマニュアル
●いつもの安定感か?新しいチャレンジか?
お客様の「なりたい自分」像を探るために、じゃんじゃん商品を見せ始める流れになったら
入店時に、死角からそっと観察して得た情報の出番です!
お客様の好みかどうかは分からないけど、とりあえず、手に取って「気にかけていた商品」を
じゃんじゃん広げる商品の中に、さり気なく織り交ぜて見せてみます。
お客様とのお話の流れで、「これもいいんですよねぇ。」と、偶然同じ商品を手に取ったかのように。
この時「これ見てましたよね?」などと、いちいち言う必要はありません。
万が一、「この人、よく見てたな。やり手だな。」などと思われると、「たくさん買わされるのでは無いか?」と警戒心が芽生えるので注意。
あくまでもさり気なく見せて、安心してお買い物を楽しんでいただきましょう。
ここで、その商品になんで興味を持ったのか?が分かって、ますます今日のお買い物の目的、求めているイメージが見えてきます。
たいていは、大きくふたつのパターンに別れるでしょう。
1、いつもの自分な感じの安定感な服
2、チャレンジ精神が必要な服
チャレンジ精神が必要 というのは、昔から憧れてるけど、なかなかトライできない、とか
今までは着たこと無いけど、最近気になる、とか、でも、やっぱり勇気が無い~ という感じのもの。
お買い物とは、そもそもその2パターンしか無いのかもしれません。
いつもの安定感を求めたお買い物なのか、いつもの安定感を打ち破り、新しい自分、憧れのファッションにトライしたいお買い物なのか。
最終的にお買い上げになる商品は、いつもの安定感モノに落ち着くとしても、
試着の段階では、是非、憧れのファッション にもトライしていただきましょう。
試着はタダですし、お買い物はエンターテインメントなのです。
今日はまだ買う勇気がなくても、着てみて、それが本当に似合っていれば、いずれ買いにいらっしゃるかもしれません。が、一度も着たことが無い服は、似合うかどうかすら永遠に分からないのです。
それに、本命の安定感モノだけを試着するより、2,3種類の選択肢の中から選ぶ方が決めやすい、というのもあります。
気になっているけど勇気がいるモノも試着して、それと比べることで、
「やっぱり今日の私に必要なのは、こっちだわ。」と、安定感モノを 買う決心 がつくのです。
逆のパターンも同じです。勇気がいる新しい路線にチャレンジする時、
新鮮な気持ちで、垢ぬけた自分と、今までの路線の冴えない自分と、比較をすることで、
こんな過去の自分とおさらばしたい! と、新しい服を買う決心がつくのです。
●ようやく試着に入る時の順番も大切に
商品をじゃんじゃん広げて、コーディネートで見せて、ようやくお客様が本当に欲しい商品があぶり出される頃、すでに棚の上には、2、3種類くらいのパンツをベースにしたコーディネートが出来上がっているでしょう。
もしかして、これまでの接客の中で、お客様がなりたい自分になるために、本当に必要なのは
パンツでは無かった。と判明して、全く違うアイテムでのコーディネートになっているかもしれません。
が、いずれにしても、一番欲しいものをベースに、トータルコーディネートが数種類、出来上がっているはず。
もしお客様が、好きなものをいくらでも買って良いと、自分に許しているリッチな方なら、
じゃ、これ全部いただくわ
と、なるかもしれません。
それくらい、今日のお客様好みのコーディネートになっている(はず)でしょう。
が、たいていのお客様は、もともと「パンツ1本」と考えていらしたような方。
他の商品は、あくまでも、「そのパンツを買ったらどんな風に着こなせるか?」の参考に、イメージを膨らませるサポートでお見せしているスタンスです。
お客様の中で、そのイメージが十分膨らんで、
「これ、パンツ以外も、本当は 全~部欲しいなぁ~。」
と気持ちが盛り上がって来た今、ようやく試着に入ります。
そして、
とりあえず、全部着てみてください!
と、一通りのコーディネートを全部試着しちゃいましょう、という流れを作ります。
遠慮がちなお客様は、絶対買わないものまで試着するのは悪いと思ってしまうので、こちらの方から
全部試着して大丈夫ですよ。是非着てみて欲しいです~♪
という雰囲気を作ります。
これは、とにかく着せて、無理やり買って貰おう!という魂胆ではありません。
理由はのちに語りますが、とりあえず、本当に着てみて欲しいのです。
そして、もし、お客様が一番気に入っているパンツがパツンパツンになりそうな気配であれば、
他の、確実に似合いそうな商品から、先に試着するように、さり気なく促します。
まず、最初に、今日のお客様にはこれがベスト!と見込んだコーディネートからスタートするのです。
もちろん、
「これ、けっこう細身なんで、入らなかったらヤバいんで、こっちの太めのパンツから着てみてください。」
なんて、間違っても言いませんよ!(爆)
ただ自然に、「とりあえず、こちらからどうぞ。」と、当たり前のように渡せば良いのです。
そして、似合うものは、やっぱり素敵。
ちゃんと試着室から出てきて見せてくださいますし、本人もご満悦。
「本命は次のパンツだけど、これも悪くないな~。」と好印象で、うきうきと次の本命パンツへ。
で、本命パンツがそれ以上に気に入れば、もちろんお買い上げとなりますが、
本命パンツがパツンパツンだった時にも、「じゃ、最初のにしよう。」と、自然と落ち着きます。
が、もし1本目にパツンパツンになってしまった場合、テンションが一気に下がり、他のを履く気が無くなってしまうかもしれません。同じパツンパツン状態でも、
1本目にいきなり!
なのと、
他の商品で、素敵な自分を体験した後
なのとでは、ダメージが全然違うのです!
●インナーの試着は勧めてもジャケットは渡さない
お客様が、本当は全部欲しい~と思うくらい、好みのコーディネートが並び、いよいよ試着することになった時、買うつもりの無い被り物のトップスなどは「試着したら悪い。」と思うものですし、
実際に、着替えるのも面倒なので、遠慮するお客様も多いです。
が、
「せっかくなので、着てみてください、試着はタダですし~。」
なんて、ノリで着ていただくよう勧めます。表面では軽いノリでおススメしつつも、
ここは、是非とも、本当に、着ていただきたいところ!
もちろん、無理やりなのはマズいですが、内心では、
このトップスと一緒じゃなきゃ、パンツも履かせないぞ!
くらいの意気込みで、一緒に渡して試着室に入っていただきましょう。
この時、インナーは必ず一緒に渡しますが、ジャケットは渡しません。
たとえ、お客様が着る気マンマンでも渡しません!
「ジャケットは、出てから羽織って見て下さいね~。狭いですし~。」 とか何とか言って。
何故か?って、理由は単純。
試着室から確実に出てきて欲しいからです。
その鉄則を忘れて、試着室に、お目当ての通勤用パンツとジャケットだけ持って入っていただいたならどうでしょう?
試着室の中は、狭くて、鏡は目の前。そして裸足。
どんなにスタイルの良い人でも、基本的には短足に見える状況なのです。
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