元洋服屋の店長だった私が思う、今の私が店長だったら新人をこう育てるマニュアル

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それに加えて、今日着て来たのは、そのパンツとジャケットにはちぐはぐな休日用のTシャツ、

目の前に写るのは、裸足で、パンツの裾がダブついている、短足でバランスの悪い自分・・・


うーん、なんか全然イケて無いかも・・・とガッカリするのは必至。


ガッカリつつも、仮に、試着室から出て来てくださったとしても、

今日履いてきた休日用のペタンコシューズ のままではとにかくちぐはぐで、

本当は似合っているはずのパンツでも、まったく素敵に見えません。


インナーもトータルで試着して、外に出て、ヒールのある素敵な靴を履いて、

遠目の鏡で見る姿とは雲泥の差 なのです。

お店で靴も扱っているのなら、着替えている間に、お客様のサイズの靴も出しておきます。


そして、バッグやベルト、スカーフなど、使えるものは全部使って、トータルで格好良く鏡に写って貰います。

仕事着を探していたお客様なら、その姿で通勤し、オフィスを颯爽と歩く格好良い自分を!

結婚披露宴に着て行くものを探していたお客様なら、その格好で理想の男性に見染められる自分を!

がっつりイメージしていただきましょう!

↑ここがキモです!


当たり前ですが、お店にあるのは、統一されたイメージの同ブランド商品。トータルで着れば素敵なのです。それを是非とも、試着室の外で、優雅に確認していただきましょう。


そして、販売員にとっても、お客様が、色んなものを着て試着室から出てきて下さるのは、

その商品をお店のスタッフ以外の人が着たところを見られる絶好のチャンス。

勉強できる貴重な機会なのです。

試着室に入る前に、あれこれとお話しして、コミュニケーションを取っているからこそ、お客様は、多少パツンパツンだとしても試着室から出てきて、その姿を見せてくださいます。


●最後まで、お客様は何でも買えるリッチ出幸せなVIPである、という前提で

試着に入る前に、あれこれ見ていた段階で、本音では「トータルで欲しい」くらいの気持ちになっているのが理想。そして、試着してみて、

「やっぱり素敵~。これを買ったら、なりたい自分、求めているイメージが手に入るな~。」

という気持ちになっていただいたら、あとは、本当に買って帰る商品の絞り込みです。


今までの接客で、お客様の予算や、欲しいアイテムを真に受けることなく、枠にとらわれずに、ただお客様のイメージを叶えるために良さそうな商品、コーディネートしたらより素敵なアイテムを、じゃんじゃんお見せして、試着していただいています。


お客様は、気に入ったものは何でも買えるリッチな方、

VIPとして丁寧に応対し、全力でサポート、という姿勢で接客してきています。


欲しいパンツを、より素敵に着こなしている姿を想像させるための、ある意味、演出の小道具 として使っていたトップスや、靴、バッグなども、いつの間にか欲しくなっているかもしれません。

「着てみたら意外と似合っているし、着回しに便利そうだし、また買い物する時間も、いつ取れるか分からないし。」などと思い、一緒に買う気になっているかもしれません。


「そういえば、仕事用のバッグも、少し傷んできてたな。」

なんて思い出したかもしれません。


そんな心の声は、こちらには聞こえない訳ですが、

とりあえず、着ていただいたトータルコーディネートの商品を、それこそトータルで、電卓で叩いてみましょう。

もし、仮に、今着ていただいたものを全部足すと・・・パンツと、ジャケットと、・・・と、・・・と、・・・・・・

「10万2千円ですね。」なんて、普通にさらっと。


そこで、お客様本人が、

「あ、意外と安い。」と思ったり、「無理してでも買いたい!」と思えば買いますし、

「買えない」と思えば買わないですし、

こちらが、その判断をあれこれ心配する必要はありません。


ただ、とりあえず、全部でいくらという金額をまずお見せして、

「いやいや、そんなに全部はとても無理~」

という方であれば、少しずつ減らした金額を電卓を叩いてお見せします。

じゃ、インナーはやめて、もしパンツとジャケットと、靴だったらいくら。

パンツとベルトだったらいくら。

パンツだけだったらいくら。などなど。


その中で、お客様が一番納得の行くところで、お買い上げいただけば良いのです。


当初の予算は、1万ちょっとだったお客様でも

「本当は10万円分欲しいけど、4万に抑えた自分偉い!」

と、前向きな気持ちでお支払いしてくださるかもしれません。


もし、

今日は、何も買わずに帰る

という結果になっても、それはそれでOK。

過度に期待する必要も、ガッカリする必要もありません。


お客様は何でも買えるリッチなVIPだけれども、今日はこの商品を買う日では無かった。


ということでいいのです。


ただ、目の前のお客様の希望を叶えるために、あらゆる思い込みをはずし、お話を聞いて、


マメに動いて商品をお見せし、

今お店にある商品で、

一番希望を叶えられそうなものを、

一番楽しい気分で選んでいただけるように、

ベストを尽くすのみです。


それを工夫しながら地道に繰り返すことで、販売員としてのスキルが磨かれていき、

「この人から買いたい。」と思われる販売員になれるのではないか?

と、妄想店長は思っています。



終わり


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