雑誌を作っていたころ(63)

前話: 雑誌を作っていたころ(62)

ユーザー事例の取材


「Tell Acer」の誌面構成は、最初の4ページが新製品トピックスや発表会イベント、次の2ページが業界著名人のインタビュー、その次の2〜4ページがエイサー製品の導入事例、そして小さなニュースや次号予告という感じで推移していた。


ほとんどの取材先はエイサー側が決めてくれるので、ぼくら取材班はスケジュールを合わせて行動するだけだった。導入事例では地方取材が多く、官公庁や学校、企業がまとめてエイサー製品を導入した経緯を取材した。北海道から沖縄まで、ほぼ全国を取材したと記憶している。


取材先に苦労したのは個人ユーザーの導入事例で、これは販社からの情報を当てにするわけにはいかず、ぼくらの個人的な人脈も総動員して候補者を探した。とくに最初のころはまだエイサーの知名度も低く、苦肉の策で「ライター山崎氏」を取材対象にしたこともあった。つまり、自作自演である。まあ、ご笑覧いただこう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

P12事例原稿

■■タイトル回り

■タイトル

使用事例①

フリーライター〈ネットブック〉

有限会社悠々社代表 山崎 修さん


■大見出し

ネットブックは「軽自動車」。性能に制約があるからこそ自由に使えるんです。


■リード文

山崎さんはこの道30年のベテランライター。Aspire oneを発売日に購入し、日夜取材に「同行」させています。ネットブックを「軽自動車」と表現する山崎さんに、どんな風に仕事に役立てているかを聞いてみました。


■■小見出し+本文

■小見出し(15字×2行)

「何でもできる」は逆に不便。普通の人にはこれで十分でしょう


■本文(19字×54行)

−−いつもアスパイア・ワンを取材に同行させているのですか?

 8月23日の発売日に購入してからは、毎日カバンに入れて取材に持ち歩いています。これまで、インタビュー取材などでは録音機と紙のノートを使っていましたが、最近ではノートの代わりにアスパイア・ワンでメモをとっています。地方取材などで時間があるときには、宿で録音を聞きながら「インタビュー起こし」をすることもあります。今まではそのために重いノートPCを持って行ったのですが、アスパイア・ワンを購入してからは楽になりました。

−−これまで、ノートPCで取材をすることはなかった?

 ノートPCだと大げさですから、取材相手が身構えてしまいます。われわれの仕事は相手から「自然体」の言葉を引き出すことですから、それでは仕事になりません。そのために、紙のノートにボールペンでメモをとっていたのですが、目立たないパソコンがあれば使いたいと思っていました。

 かなり昔の話ですが、NECが出していた「モバイルギア」という白黒ディスプレイで乾電池で動くハードを使っていたことがあります。あれだと気軽に使えて良かったのですが、いつの間にか発売中止に。それ以来、こういうハードが出るのをずっと待っていました。

−−エイサーにした理由は?

 ウインドウズXPがOSなら、頻繁な更新があるので大容量ハードディスクが絶対に必要です。あとは価格とデザイン、それにキーボードの打ちやすさと画面の見やすさで選びました。なんといってもエイサーは世界第2位のノートPCメーカーですからね。これを選んで良かったと思っています。

 そもそも、性能に制約のあるネットブックはクルマに例えれば軽自動車のようなもの。性能に限界がある分、安い価格と小ささ、軽さを得ています。だからこそ、めいっぱい性能を引き出して「使い倒す」ことができるんです。

−−従来のPCは「普通車」ですか?

「何でもできる」というのは、一般のユーザーにとっては使いこなせない領域なんです。時速250キロで走れると言われても、走るところがないし。最近、若い人たちのクルマ離れが叫ばれていますが、それだけクルマが当たり前の道具になったということでしょう。PCも同じで、ネットに接続できて普通のことが普通にできればそれでいい。その範囲で使うなら、ネットブックは役に立つ「生活の道具」ですよ。


■■キャプション

■上

山崎さんの取材道具。左はIC録音機。もう紙のノートは使わなくなったという

■中央

時間が空いたらメールチェック。簡単な用件なら、その場で返事も書いてしまう

■右

「小さくてカジュアルなネットブックは、取材相手を威圧しないので便利です」



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

まあ、こんな「茶番」は1回やれば十分で、その後は友人知人に片端から出演してもらった。本稿「雑誌を作っていたころ(51)」で紹介した寺崎美保子さんも、その1人である。そちらの原稿も再録しておこう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

P11 事例原稿


■■タイトル回り

■連載タイトル

使用事例②

パズル作家 〈ネットブック〉


■タイトル

使いやすいモバイルマシンがあれば、いつでもどこでもパズルが作れます。


■肩書・氏名

株式会社ゼロページ代表取締役 寺崎 美保子さん


■リード文(35字×3行)

本業のクロスワードパズル作家以外に、イベントプロデュース業や雑誌ライター業など多彩な活躍をしている寺崎さん。「モバイラーのプロ」から見たアスパイア・ワンの使い心地をうかがいました。


■■小見出し+本文

■小見出し(15字×2行)

モバイラーのプロとして、このマシンは使いやすいと思います


■本文(19字×54行)

−−かなり古くからのモバイルユーザーだそうですね。

 ウインドウズ95や、ウインドウズCEの時代から何十台も使ってきました。パズル作家としての活動だけなら、それほど移動する必要はないのですが、イベントプロデュースの仕事などエンターテインメント系の仕事もやっているので、事務所に腰を落ち着けている時間があまりないんです。それで、どこでも仕事ができる環境を求め続けてきました。

−−アスパイア・ワン購入のきっかけは?

 前に使っていた超小型パソコンを落として壊してしまったからです。ちょうど世の中にネットブックという値段の手頃なマシンが登場してきたので、昔パソコンショップの副店長をしていたスタッフに相談したら、「エイサーがいいんじゃない?」と勧められて。見に行ったら気に入ったので、イーモバイルとのセットプランで購入しました。

−−使ってみての感想はいかがですか?

 以前使っていたモバイルマシンより画面が大きくて見やすいですね。キーボードの反応も速くて快適だし。インターネットの使い心地も、イーモバイルとの組み合わせなら問題ありません。

 昔のモバイルマシンでは、通信手段にPHSを使っていたのですが、ちょっと重いデータを受信するときなど、イライラさせられていました。今はストレスを感じることがなくなりましたね。

−−パズルもアスパイア・ワンで作るのですか?

 フリーソフトの「クローカス」というクロスワードパズル制作ソフトを使っています。移動中の電車の中や、仕事の待ち時間などで、30分ほどあれば1つのパズルが完成してしまいます。

 クロスワードパズルは、いつでもどこでも作れるのが魅力です。昔は紙と鉛筆、それに辞書を持ち歩いて喫茶店などで作っていましたが、今ではアスパイア・ワンだけ。作ってから編集部に送るまでの作業が、これ1台でできてしまいます。

−−パズルのほかにはどんな用途にお使いですか?

 ブログの更新やコメントに対するレスを書くときに使います。携帯でも更新しているんですけど、長い文章を書くときはこちらが便利ですね。携帯で長い文章を打つのは厳しいですから。あとは自宅で、寝る前に1時間くらい、mixiを見たり、メールチェックとかに使っています。今ではいい相棒です。


■■キャプション

■上

クロスワードパズル制作ソフト「クローカス」での制作画面

■左

パズル関係の著書や雑誌連載は多数。電車の中で30分で作って送ることも。

■中

「パズルを作るのに必要なのは遊び心と想像力」という寺崎さん。

■右

自称「日本一いい加減なパズル作家」だが、30代男性を中心としたコアなファンが多い。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

自分で「いい仕事」をしていたかどうかはわからないが、明らかにこの時期は「ノって」仕事をしていた。新たな刺激と自分の経験が活かせる部分がちょうど50%ずつあって、仕事が楽しくてたまらなかったのだ。

著者の山崎 修さんに人生相談を申込む

著者の山崎 修さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。