【第1話】〜生きようと決めて1年間闘い続けたら、過去がすべて今に繋がっていた話〜
日常の世界に戻ってきた。
僕は、旅をやり遂げた達成感で溢れていた。
家に帰ってからすぐ、撮りまくった写真のスラードショーを作った。
歩きながら聴いたお気に入りのプレイリストの曲にのせて。
僕は、会う人にスライドショーを見せた。
自分の経験をすべて見て欲しかった。
両親や友達も、「おかえり」や「すげぇな!」と言ってくれ、
僕は得意な気分だった。
完全に失った自信がちょっと復活した気がした。
うつ病なことも忘れてしまうくらい一気に元気になった。
旅を終えて3日後、病院に行き、担当医にもちゃんと旅を終えたことを報告した。
すると担当医がこんな話をした。
医者
歩いてる間、どんなことを考えてた?
僕
なんというか…「無」でしたね!笑
医者
やっぱり!
医者
渡世人(とせいにん)って知ってる?
今で言う極道、ヤクザの人のことなんだけど…
今で言う極道、ヤクザの人のことなんだけど…
昔の極道は、読んで字のごとく、その道を極めた人だ。
並大抵の精神じゃやっていけない。
そのため、ひたすら歩き、
心を無にして精神を鍛えたらしい。
※諸説あります。
世を渡る人で、渡世人。
カッチョいいじゃないの!
昔からひたすら歩くということは、精神を鍛えるために行われていた方法らしい。
僕は、理にかなった方法でうつ病と闘っていたようだった。
そして、その結果がちゃんと出ていた。
この日から、処方される薬は睡眠薬だけになった。
僕は嬉しかった。
自分のチカラで、うつ病を改善出来たことが嬉しかった。
自分の選択、決断がいい結果を生み出したのが嬉しかった。
僕は、薬を飲んでいる自分が嫌いだった。
どんなに元気でも、薬を飲む度に、
「僕はやっぱりうつ病なんだ…」
と思い知らされる感じがたまらなく嫌だった。
しかし、精神薬は無くなった。
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