【第1話】〜生きようと決めて1年間闘い続けたら、過去がすべて今に繋がっていた話〜

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前話: 【最終話】『僕の宝物』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

日常の世界に戻ってきた。




僕は、旅をやり遂げた達成感で溢れていた。




家に帰ってからすぐ、撮りまくった写真のスラードショーを作った。




歩きながら聴いたお気に入りのプレイリストの曲にのせて。




僕は、会う人にスライドショーを見せた。




自分の経験をすべて見て欲しかった。




両親や友達も、「おかえり」「すげぇな!」と言ってくれ、


僕は得意な気分だった。




完全に失った自信がちょっと復活した気がした。




うつ病なことも忘れてしまうくらい一気に元気になった。





旅を終えて3日後、病院に行き、担当医にもちゃんと旅を終えたことを報告した。



すると担当医がこんな話をした。




医者
歩いてる間、どんなことを考えてた?
なんというか…「無」でしたね!笑
医者
やっぱり!



医者
渡世人(とせいにん)って知ってる?

今で言う極道、ヤクザの人のことなんだけど…



昔の極道は、読んで字のごとく、その道を極めた人だ。


並大抵の精神じゃやっていけない。


そのため、ひたすら歩き、


心を無にして精神を鍛えたらしい。


※諸説あります。




世を渡る人で、渡世人。




カッチョいいじゃないの!





昔からひたすら歩くということは、精神を鍛えるために行われていた方法らしい。




僕は、理にかなった方法でうつ病と闘っていたようだった。




そして、その結果がちゃんと出ていた。






この日から、処方される薬は睡眠薬だけになった。






僕は嬉しかった。




自分のチカラで、うつ病を改善出来たことが嬉しかった。




自分の選択、決断がいい結果を生み出したのが嬉しかった。




僕は、薬を飲んでいる自分が嫌いだった。




どんなに元気でも、薬を飲む度に、


「僕はやっぱりうつ病なんだ…」


と思い知らされる感じがたまらなく嫌だった。




しかし、精神薬は無くなった。



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