【欧州はつらいよ】ブダペスト編①

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ブダペスト郊外にある空港の出口を出ると、

目の前に灰色の風景が広がった。


高い建物がないので

まず目に入るのが空の薄いグレー。

視線を下にやると、

空よりは濃いアスファルトの灰色が

水に濡れて光を乱反射させている。

左右に目をやっても、

建物は空とアスファルトの中間くらいの灰色か、

すこし濁ったような乳白色だ。


深呼吸をしてみると

空気はいくぶん湿気をはらんでいて、

雨上がりのアスファルトのにおいがした。

このぶんだとまたすぐ降り始めるかもしれない。


どこか暗さをはらんだ景色は、

ぼくが思い描いていた中欧の雰囲気に

ほとんどぴったり重なるものだった。

と同時に、20年以上育った埼玉郊外の景色とも、

どこか近いものがあるような気がする。

ちょっと重苦しくて、憂うつで、

でもなつかしさがある、あの景色だ。


思えば、ぼくが大学院の卒業旅行で

中欧に行ってみたいと思ったのは、

どこか暗さをはらんだ雰囲気に惹かれたのかもしれない。

ぼくはだいたい、

底抜けに明るいひとや国や映画よりも、

どこか暗いそれらに惹かれることが多いのだ。




ブダペスト中心部へは、

市内を循環するバスで向かう。

ヨーロッパではトラム(路面電車)、

メトロ、車にバスと、

街中をめぐる交通機関はじょうずに分散されている。

みんなの読んで良かった!