63人生の岐路 / 父、彼と会う

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父を彼に会わせる。

その日はやってきた。


2月11日。


土日祝日が休めない彼を説得して、どうにか取ってもらった休日。


鈍行で行く予定だったので、朝早くに家を出て、総武快速線とJR東海道線で静岡まで辿り着く。

静岡に着いたのは、おおよそ12時過ぎ。バスを乗り継ぎ、実家に着く。


つ、ついに実家に来た。

それも彼を連れて来た。


大好きでたまらない実家がこんなに怖いなんて…。

彼は実家の庭を見て感動していたけど、私にはそんな余裕がなかった。


父に何を言われるんだろう。

まともに口を利いてくれるのだろうか。


彼に対して笑顔で応えるも、心の中では相当強ばっていた。


いつもは押さないピンポンを押す。

自分の家に来たのに、他人の家みたかった。

嫌だ、そんなの…。


母がやって来た。

いつもと同じトーンで、「遠くからありがとうね。今、お父さん呼んでくるから待っててね」て。


お父さんが来る…。

座っている私たち。

お茶を入れてくる母。


仲介となってくれる母が今、いないのだ。

この間に父が来たら…。なんて、私はどこまで心配性なんだ。


と、思っていた時に、母が戻り、父がやって来た。


挨拶をして、お土産を渡して、彼が話す。

内容はあまり覚えていません!


でも、父は口を閉ざす事なく、しっかり彼の話を聞き、笑いながら応えていました。

いつもの優しい笑顔があったのです。

もちろん、厳しい口調で私に言っていたことを彼にも伝えていましたが。


みきと長いこと付き合っているから、そろそろけじめをつけたらどうか。

その辺りは、どう思っているの?


彼の口から出た言葉は、初めて聞く話もあり、彼の横で嬉しさが込み上げてきました。

なかなか彼に将来のことをズバッと聞くことができず、(引かれると思うから)避けてきてしまいましたが、父が聞いてくれたことで私の心は晴れやかな気持ちになっていきました。


少しずつ、少しずつ…。

父と彼の距離が近づいていると思いました。

あんなにも口を閉ざしていた父が、私にも話しかけてきてくれる。

笑いかけてくれる。

それが嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。


少し、私に話があるからと、私と母が席を立ったけど、彼と父は沈黙なんて言葉が似合わなすぎるほど会話が続いていました。


最終的に、

いつでも遊びに来てね。と父は言っていました。

父からしたら、息子みたいな気持ちなんだろう。私の家族は、父、母、私、2つ下の妹、4つ下の妹と、何年間も女に囲まれて過ごしてきたわけだから、嬉しいんだと思います。


父ばかりの話になってしまいましたが、彼のおかげでもあると思うんです。

彼のコミュニケーション力と言えばいいでしょうか。

話の筋道を立て、父の質問に答えるだけでなく、彼からも質問をする。

それが良かったと思います。私なんて緊張で何の役にも立てなかったけど…。


と。

彼と父が初めて会ったのは、2月11日となります。


父から言われたのは、

近くに住んでいるなら、一緒に住んじゃえば?

です。


彼と私の家は、電車で1駅ほどです。

私としてもそうしたいけど、彼は今の家を離れたくないみたい。

だったら、俺の家に来るのはどう?と聞かれたけど、それは嫌。だって、今の家は職場から徒歩10分だもん。ううん、理由はそれだけじゃない。転職期間、居候という身で彼の家(シェアハウスの大人数版)に住ませてもらったけど、シェアハウスの方と全然馴染めず、料理を作りたいけどキッチンにはいつも誰かいるのでごはんを食べなかったり外で済ませたり。そういう生活がまた来るのはイヤだなと思って。


だから、父に言われたけど、たぶん無理だな〜と思いました。

引っ越しという選択肢がなかったんです。


でもね、ある日を境に思いがけない方向に進んでいったのです。

良い意味でもあまり良くない意味でも。

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64人生の岐路 / 思いがけないお願い

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