かすかな希望への祈り

頭は混乱したままだった


1人で駅に向かいながら、いろんな思いが頭の中を巡った。


なんで、こんな事になってしまったんだ
数年前、友人が自殺してから、
俺は一体何をしてたんだ
自殺者をなくしたい、なんて言って
俺は一体何のために頑張ってきたんだ

そのような思いが頭の中でぐちゃぐちゃになり、

友人が自殺してから、自分がこれまで生きてきた数年間の

人生の意味を見いだせなくなってきていた。


電車に乗る。


いつもの駅だ。

皆、普段通りの顔で喋ったり、笑ったりしている。


自分が今どんな状況にあるのかなんて

周りの誰1人知らない。


もちろん、周りの人がどんな状況にあるのかなんて

俺も何1つ知らない。


1人1人が全く別の状況の中で生きている事は

間違いないが、これほど周りとの違いを

感じるのは稀な機会だった。


都内から群馬の実家へ帰るため、

埼玉の大宮駅で乗り換えだ。


親父から電話が来てから、折り返してはいなかったが

事実としてあったのは、この段階では


「弟が首を吊った、病院で蘇生中」


ただ、それだけだった。


電車に乗っている間も、歩いている時も

ずっと心の中で


「まだ生きているはずだ」

「なんとかなるはずだ」


祈るような思い、というより

まさに祈るしかなかった。

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