貴裕はどうやって拓人になったか
掲示板に載せて何回も人を呼んで夜を過ごした。
それでも好きなのはあのコだった。
その頃には離したくないくらいに好きになっていた。
好きだったからこそ傷付けたくなくて、言えなかった。
嘘がどんどん積み重なっていった。
もう駄目だ。
そう先に思ったのは向こうだった。
泣きながら電話をしてきた。
でもオレは冷めていた。
「ホントにいいの?」
と聞いてその時は思い止まらせた。
その後有り得ない関係を持っても、やはり隠し通してしまっていた。
そしてこのまま付き合っていてはいけないとはっきり判り…さよならを、した。
あの夜から9か月目のこと。
もう幾つ寝ると、という12月。
最後の思い出にと思って、彼の地元に行ってケータイのカメラでたくさん画像を撮った。
いつもの待ち合わせの場所、車を止めて暗くなるまで話をした場所。
そして終わった。
終わったはずだった。
けど、そのうち普通に連絡を取るようになって、結局3年間の学校生活の初めから終わりまで見届けてあげることになった。
その後新しく始まる生活の手伝いみたいなこともした。
これまでにそのコとの関係は二転三転していて、今は何なんだろう。
もうあまり連絡も取らなくなった。
でも彼はオレの中では大切な人だ。
オレの中ではいつまでもカワイイままだ。
そのコとの関係が一度切れて、次の恋愛が始まりかけた時のこと。
事件が起きた。
色んな人と会っていた。
身体の関係は特に無かった。
純粋に友達が欲しかったから。
そうやって知り合った人に、初めてゲイバーに連れて行ってもらった。
若い人がよく集まる、当時賑わっていたバーだった。
マスターはイカニモなオネェ。
でも実は実家がオレの家とかなり近かった。
とにかく話が面白くて、夜暇になると一人で飲みに行っていた。
そんなお気に入りのバーを舞台に事件は起こった。
事の始まりは、そのバーで開かれたパーティーだったと思う。
その時も一人で行ったオレの周りには年上しかいなかった。
当時22だったから当たり前と言えば当たり前のことだろうきっと。
でも余りの年上の多さに、「年下がいなくてつまらない」と友達にメールをした。
そう、きっとこれが全ての始まりだったのだ。
そのパーティーから少し経ってから、見知らぬサブアドからのメールが来た。
『(本名名字)君、ヤバいことになってるよ(笑)』
という内容だった。
誰なのか聞こうとして返信をしたがすぐエラーで戻ってきた。
不安になった。
そんなことが何度か続いた。
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