『友達ゼロの人嫌い』が3.11被災生活を通して『人すげぇ!ホントはみんなイイやつ!』に変わり20年の人間嫌いを終わりにした話
ただ、
この被災生活になってから、
何か、別な違和感を感じていた…
よく考えてみると、
自分にとって、不可解なことが
起き始めていることに気がついた…
なぜだろう…
『知らない人がすごく優しい』のだ。
…はじめは、たまたまだと思った。
でもそれは一日の中で、
何度も見た。体験した。
それは、こんなことだった。
~役所の食料配給で見た老夫婦~
貰ったばかりの食料を、
後から来た小さな子ども連れの家族に
あげようとしている姿を見かけた。
恐縮して受け取れない若い親に、
老夫婦はおだやかに『私たちはいいから。』そう言った。
若い親はそれでも遠慮してしまっていると、
老夫婦は、また『私たちはいいから』とだけ言って、
子どもに食料を手渡し、
笑顔で手をふり、去っていった。
~倒壊寸前の店から、品物を運び出し、利益ド外視で売ってくれたスーパー~
外にわざわざテントを立ててくれて、
必要なものを購入させてくれた。
その値段は定価よりも、はるかに安くて
もはや「商売」ではなく、
「支援物資」のようだった。
『電気が止まってしまったから…』と、
いただいたフルーツヨーグルトの味は
沈みがちな気持ちに、活力をくれた。
そんな出来事を見て、
『赤の他人のために、なんでそんなことができるんだ!?』
『でも…なんかカッコイイな…自分とこの人達は一体何が違うんだろうか?』
そう考え始めるようになった。
こんなこともあった。
~充電もままならない中で、投稿されるツイート~
被災した人々同士が、
スーパーやガソリンスタンドの開店情報など、
テレビからは得られない
ピンポイントな地域の情報を拡散し合った。
…これは、本当にありがたかった。
充電も、充電方法すらも限られている中で、
自分の知っている情報を
みんなが、
自分のケータイの貴重な充電を減らしながら…
送りあっていた。
~避難所を回り、水を届けた給水車~
銀色のピカピカの給水車であらわれたおじさんの
『満タンに入れるからな!』の一声。
透明な水が勢いよく注がれる。
その瞬間、
集まった人々の列から『おぉ…』と、
歓喜と溜め息が混ざったような
静かな歓声が起こった。
こんな出来事を
毎日のように目の当たりにして、
『赤の他人のために、なんでそんなことができるんだ!?』
という思いは、
少しずつ、
でも確実に、
変わり始めていた…
『もしかしたら…自分が今まで深く関わることは避けてきた他人(人間)って…』
そんな、まだ知らない可能性を感じ始めていた…
そして
オレはこのあと、
きっと一生忘れることのできないだろう光景を
目にすることになる。
著者の才藤 恵太朗さんに人生相談を申込む
著者の才藤 恵太朗さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます