«小学6年»担任が泣いてしまった
どうしようもないガキだった
小学6年で担任が新しくかわり、おれと友達のSくんは、いたずらばかりしてた。
塾の帰りに用務員のおじさんの家に毎回ピンポンダッシュしに行ったり、非常階段から雪玉を作って
窓にぶつけたり、タバコ吸ってみたり、今考えると嫌なガキだった。
大体いたずらするときはSくんに誘われて、それに付き合うって感じだった。
Sくんは担任にすごくマークされてて何かあると担任はすぐにSくんを疑った。
おれはいつもSくんと二人でいたから、さみしくなかったけどたぶんクラスの奴らからは
変なやつだって思われていたんだと思う。
担任の先生がある日、クラス全員の児童に匿名でいいから先生に思っていることを書いてくださいと言われたことがあり、おれは面倒くさいし、なんにも書かなくて そのこともすっかり忘れていた。
それから何日かして、先生が教室に泣きそうになりながら入ってきて
「学級会を開きます。みんな目を閉じてください。この前、みんなから書いてあったやつを読みます」と言った。
「くしゃみをするな菌が飛ぶ」
「ひいきをするな」
「話かけてくるな」
強烈な日本語の数々におれは心の中で「マジですかー!」と思ってた
そして先生が涙声で「それは先生は短気ですよ!でも先生だけが悪いんですか!?そうじゃないでしょ?みんなが悪いんでしょー!?先生はみんなのそういうところが直るまで給食は食べません!」
と言って自分の机の椅子に座りふせてしまった。
給食の時間になってもずっと先生はふせたままで先生のぶんの給食を用意した児童は無言で先生の
机に置いた。
みんな無言で給食を食べてた。おれはいたたまれなくなって
先生のところに行き、「先生食べなよ」って声をかけた。
気づいたら男子がみんな先生の周りに集まってた。
女子はみんなムシャムシャ給食を食べてた。
しばらくすると先生が「ありがとう!だけど先生は給食は食わん!」と言って
その言葉で男子もみんな席について給食を食べた。
先生は次の日もその次の日も学校を休んだ。
その次の日先生は学校に来て「お!今日はカレーうどんか!食うぞー!」
と言っておかわりしてた。
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