無人駅で祭りばやしが聞こえた

千葉の山間部に上総鶴舞という無人駅がある。
大多喜に向かう途中、ふと休憩したくなり、偶然立ち寄った駅である。車が5台入るのがせいいっぱいの小さなロータリーに車を停め、自動販売機でコーヒーを買った。
誰も居ない駅舎の待合室で、コーヒーを飲んでいると、どこからともなく自転車に乗った女の子が近寄ってきた。
オレンジ色のピカピカの自転車を操りながら、
「どこに行くんですか?」と女の子は人懐っつこく私に尋ねた。
どうやらその自転車は買って貰ったばかりの様子であり、誰かに自慢したくてたまわらないのだろう。私は自転車を褒めてあげ「これからハーブを買いに行くんだよ」と応えた。それから2、3言、言葉を交わしたあと、彼女はじゃあねと行って、ロータリーの奥へ消えていった。
それから私はホームのほうへ入り、線路に下りて写真をいくつか撮った。ときおりそよぐ風は冷たかったが、綺麗な空気を感じて心地よかった。
どこかで、祭ばやしの音がしていた。
それはときおり近くで聞こえるようであり、風の具合によっては、また遠ざかった。
3枚目の写真を撮り終えたとき、それは何故だかぴたりと止まった。

サイトからのお知らせ

STORYS.JPはあなたの一歩を応援しています

生き方は少しずつ自由になってきましたが、未経験分野への挑戦(転職)はまだまだ難しいのが現状です。これを踏まえて、STORYS.JPは誰でも実務経験を得られるサービス『adoor』をリリースしました。 最初はエンジニア職を対象にしています。STORYS.JPは、どんな人でも人生の一歩を踏み出しやすい世の中を目指しています。

実務経験は買える「adoor」

著者の谷尾 薫さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。