アトピーから自分らしさと生き方を教り、アトピーセラピストへ生まれ変わる物語

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僕は「アトピーなんだ」って言えませんでした。

怖かったし、もう自分の見た目にも自信がなくなってました。

「どんな人なんだろう?」

そう気になっても、僕がどんな人かを明かす勇気に戸惑っていました。

会いたくて とにかく、きれいになろうと励みました。

その後たった一枚だけ、

何度も何度も撮り直してきれいに撮れた写真を

Mikaちゃんに送ることができました。


ボロボロだったけど、

漢方の煎じ茶のお陰だけど、

Mikaちゃんと出会えたことが

絶望から這い上がる「希望」になっていきました。


日々のことなどをメールで話したり、

ときどき電話をしたりして次第に明るい気持ちになってきました。

でも、アトピーのことをなかなか話せなくて不安な気持ちも一緒でした。


「いつか会いたい」


僕は一人暮らしをいったんやめて実家に戻りました。

まだアトピーの辛い時期でもあったので、

仕事以外のことは両親に助けてもらうことを選びました。

深夜に帰ってきて母さんが作っておいてくれた煎じ薬を飲んで、

なるべく寝るようにしました。

鏡をのぞき込んでは

「もうちょっと、あと少し」と言い聞かせていました。

そのうち、初めてのデートの約束になり、

そのときやっと「アトピーなんだ」とMikaちゃんに伝えました。


「何も気にしないでいいんだよ」


Mikaちゃんは僕がアトピーであることを

何のマイナスもなく受け入れてくれました。

猛烈アトピーから立ち直りつつある中、

僕はとても痩せました。

やせ細ったのではなくて、

いらないものが抜けて身軽になった感じでした。

それまではちょっと太っていて

コンプレックスがあったのでそれは嬉しい変化でしたね。

デートの日までに新しい服を買って、

髪もいじるのが楽しくもなっていました。



年が明け、1月25日。

僕はいつも仕事に向かうのとは違う電車の中。

まだ少し肌荒れも残っていたけどあまり気にしないでいられた。

約束の場所に着くまでの電車の音、駅での停車と発車。

緊張とワクワクの行ったり来たり。

近づくにつれて、僕の胸の奥はドキドキが止まない。



駅について、時計を気にしながら改札をでたとき、

長い髪で、

可愛らしい白いコートを着て

改札の脇で僕を待っていてくれました。

会う前に送ってくれた写真も可愛かったけど、

目の前にあらわれたMikaちゃんはとても綺麗でした。

今までたくさんお話ししてきて、

でも会うのは初めて。

不思議な気持ち。


どんな挨拶をしたっけ?

ちょっと忘れてる。

でも、気が付いたら笑ってた。


真冬の後楽園。

Mikaちゃんとの1日が楽しくて楽しくて、

何に乗っても、一緒に食事をしても幸せな気持ちでした。

アトピーってホント苦しかったけど、

夢のような1日をプレゼントしてもらいました。


日も暮れて、あたりがイルミネーションに変わるころ

2人で観覧車に乗って、

空にいちばん近いところまで上がったとき

僕は伝えたい気持ちをMikaちゃんに贈りました。



車内にはレミオロメンの「粉雪」が流れていて


観覧車を降りるとき


手を繋いで一緒に歩いた帰り道から


新しい日々が動き出しました。






体もすこしづつ楽になっていき、

いつまでも親元にいてはと

実家からさほど遠くないマンションに引っ越しました。

引っ越した先は面白いところで、

1階には昼はカフェで夜はビリヤードバーがあるマンション。

なぜか2階の踊り場にはバーベキュー場まであったんですが、

使っているところは一度も見ることはありませんでした。

休日には、Mikaちゃんは仕事が終わった後、

電車を乗り継ぎ3時間もかけて遊びに来てくれました。

僕もいつも帰りが遅くなるので、

深夜に最寄りの駅で待ち合わせて一緒に歩いて帰りました。

1階のお店で食事をしながらおしゃべりをしたり、

休みはどこかへ遊びに行ったり、

一緒にゲームをしたり、映画を見たり、

どこにでもいるような2人です。



夜、Mikaちゃんは僕の顔や手をマッサージしてくれました。

肌荒れで人に見せたくなかったし、

触れられることもなかった僕にとって

Mikaちゃんの手は愛情そのもので、

そのまま安心して眠りにつけました。

次の日が仕事でもその晩に帰らずに、

日が昇る前の早朝に僕の部屋から仕事に行った日もありました。

僕にとって失われていた日々が少しづつ帰ってきました。

Mikaちゃんと友達に会いに行ったり、

実家でも職場でも僕に笑顔が返ってきたことを

みんなが喜んでくれていたように感じました。

もちろん、ときどきケンカして仲直りしたりもありました。

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