異質な筋肉バトル~中学2年間を費やした日々~

1 / 2 ページ

■ 僕の父はプロボクサー

中学2年生の夏休みのことだった。

家に閉じこもって一人でゲームをする毎日だった。

決して友達がいなかった訳ではないけど、インドア派だった。

友達と遊ぶにしてもゲームをして過ごして怠惰な日々を過ごしていた。

そんなある日、母から突如こんな提案をされた。


「お父さんにボクシングでも習って体を動かしたら?」


険悪な仲ではなかったにしろ父と母は離婚していたので、母からこんな言葉が出てくることに驚いた。

僕は、父がプロボクサーだということは知っていたが積極的にやろうとは考えていなかった。

まぁけど、ゲームばっかやってたけど、友達に流されてやってただけってのもあったし、

体を動かすのは嫌いじゃない。

僕はボクシングを始めることになった。

■ 腕相撲で最強になれ

それから、僕は筋トレとボクシングに明け暮れるようになっていった。。。

中学2年の夏、ゲームばっかりしていた僕は案外ボクシングにのめりこんでいった。

初めの半年くらいは父と公園で練習した。

さらに、練習の仕方もだんだんわかってきた僕は、家でも鏡の前でシャドーボクシングをするようになった。


家にあったじいちゃのダンベルで筋トレもするようになった。

(昔のなので、重さを変えることができない鉄のごてごてした鉄アレイだ。4KG)

10㌔ランニングもするようになった。

そして僕は自分の体に自信を持ち始めた。

そんな中「彼」が現れた。

同じ中学のクラスメイト「H」だ。

「H」はいつもルーラーと叫び、制服の袖から定規を取り出しては収めてはしていた。

まったく意味の分からない奴だった。

決して、一度とも、定規を手放さないのだ。

授業中も、給食の時も、部活の時も、登下校の時もだ。

そして「ルーラー」と叫ぶ。


そんなある日、「H」の筋肉がすごいぞと噂になっているのを耳にした。

え!ルーラーとか言ってるやつが筋肉あるのか?

まさかあのルーラーは10KGくらいの重さがあるというのか?!

僕は彼「H」と戦う覚悟をした。

そしてクラスのみんなが注目する中

腕相撲をしたのだった。

。。。


■ ぐっ!ぐはっ!!


意識が朦朧とする。


・・・・・

・・・

・・

腕がもげる。


ここで負けたらそのルーラーでオレを切り刻むのか?

・・

・・・

・・・・・

我に返ったとき、僕の右腕は学習机に押し付けられ、めり込む勢いだった。

微動だにしない。


せこい技でも使われたかと思った。

僕は完膚なきまでに腕相撲で「H」に負けたのだ。

反論の仕様がない。

敗者はただ去ることしかできない。

確かにちょっと前までゲームばっかしてたけど、

1ヵ月は筋トレしてきたぞ!

上には上がいることを知った。


そんな中。

「H」は陽気だった。

嫌みのない純真無垢な目で「りゅうちゃんも強かったよ、またやろう」と言ってきた。

僕は負けたが、そんなに嫌な感じはしなかった。

純粋に「H」に勝つ力が欲しいと思った。

ルーラー使い「H」と親友になった瞬間だった。

僕は「H」にどんな筋トレをしているのか聞いた。

すべてをパクリ、まねるつもりで聞いた。

TTP...徹底的にパくる

MMM...めちゃめちゃまねる

だ!!


そして僕は制服の裾からルーラーをっ

取り出すのだけはやめた。

絶対意味ないじゃん


わけわかんないよ。


僕は筋肉の為の生活を始めることとなった。

筋トレと生活は別物じゃない。

生活のあらゆる面で筋肉を意識すること、これこそが「H」に追いつく方法だ。

しかし、「H」は学生鞄パンパンになるまですべての教科書を毎日入れて通学していたのだった。

しかも、持ち前のダンベルは10KG!

僕は4KG!

だがお金がなくて買えなかった。

家では4KGの鉄アレイ2つをクロスして片手で持って筋トレした。

たまに「H」の家に行って10KGを貸してもらって一緒に筋トレした。

そして、約1ヵ月後徐々に筋肉がついてきた僕は、


そろそろ勝てるだろうと思い、再戦を申し込むことにした。


■ 腕相撲で最強になれ!!!るのか?


ぐっ!ぐはっ!!

意識が朦朧とする。

・・・・・

・・・

・・

腕がもげる。

ここで終わるのか?

やっぱりルーラーを袖に入れておかないと勝てないのか?

・・

著者の高瀬 龍一郎さんに人生相談を申込む

著者の高瀬 龍一郎さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。