パプアの森の勇者デメギョ1

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いつもの様に、米の部屋でゴロゴロしていると、テレビでは、兼高かおるの世界の旅が始まっていた。

パプアニューギニアの成人の儀式、バンジージャンプ、蔓で足を縛り、10メートルぐらいの高さから飛び降りる、若者の緊張感が、画面を通して伝わってくる。

「米、バンジージャンプ飛びきるかー。」

「飛びきるさー、パプアの人は誰でん、飛んだとやろもん。」

米は、チラッと僕を見ただけで、すぐにエレキギターの練習をはじめた、なんてことないという態度、確かに米はやるだろう、後先考えない男なのだ。

テレビの中の若者は無事ジャンプを終え、長老や、他の大人達も笑顔で迎え、今日からお前も大人の仲間入りだ、よし、酒でも飲むかと、言っている様だった。パプアニューギニア語分からんけど。

「米、ジュースば飲もうだい。」というと、面倒くさそうに立ち上がり、

「チョット待ちょって。」

ガタゴト、古くなった引き戸を開けて店の方へ、米とは家が近いこともあって、小学一年生の頃からずっと友達、今度高校三年生になるからえーと、とにかく長い付き合いだ。

米屋の跡取り息子だから、あだ名は米、自動販売機の鍵をジャラジャラ鳴らしながら。プラッシーを二本抱えてきた。

「プシュー、プシュー。」と、手慣れた手つきで栓を開け、一本をくれた。

「デメギョ、明日何時に出発する?」と、聞いてきた、あ、そうそう、僕のあだ名は、

デメギョ、目がデカイから。

「朝一の、フェリーで行こう。」

明日は、熊本に遊びに行く、僕らの住んでいる深江町は、歴史の教科書で有名な島原の乱のあった場所、島原半島にある、半島というだけあって、離島みたいなものでJRも通っていない、要するにド田舎、でも明日は憧れの大都会熊本、DCブランドのメッカ、シャワー通りに出陣ダー。

「早う、鍵を返して来いよ。」と、僕が気を利かして言うと、

「よかさー。」と、米。

「またじいちゃん怒らるっど。」と、僕が言うと、黙ってグビグビジュースを飲んでいる、米は懲りない男だ、毎回金も入れずにジュースを飲むもんだから、よく、じいちゃんに怒らている、でも全く気にしない肝の据わった男なのだ。

プラッシーは、米屋にしか置いてないオレンジジュース、スーパーで見かけたことは一度もない、またこれか、たまにはコーラでも飲ませろよと思いながら、ありがたくいただいた。

番組が終わるとやることか無くなった、米はまだギターをかき鳴らしている、辺りを見回しても、米の部屋には、エロ本が一冊もない、あるのはファッション雑誌チェックメイト、パラパラめくって可愛い子ちゃんを探していた。

米はどうやらファッションに興味があるらしい、どちらかというと女の子に興味がある僕は、米という人間が不思議でしょうがない。

「そしたら、明日にゃー。」

見るべきもののない米の部屋を後にした。

米はいつもギリギリまで寝ている。

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